DM送付後の効果測定方法は?確認するべき指標と計算方法を解説

DMのお役立ちコラム

広告・宣伝の手法がデジタル中心になった今、紙の案内状やカタログを郵送するDM(ダイレクトメール)は一見アナログで時代遅れのイメージがあります。しかし、DMは小売・飲食・金融・保険など、さまざまな業界で採用され続けている、依然として重要なマーケティング手法です。

DMの効率的な活用には、DMをどれだけの人が開封したか、DMを通じでどれだけの人が購入したかなどを具体的に把握する効果測定が不可欠です。しかしデジタル手法と違い、DMでの集客や売上効果を正確に追跡・測定するのは困難です。本記事では、そもそもDMとは何かを改めて振り返るとともに、DMの効果測定で重要な数値や注目すべき指標と算出方法、改善策を講じることの重要性を解説します。DM担当者は、ぜひ参考にしてください。

そもそもDMとは?

DMはダイレクトメール(Direct Mail)の略です。個人の住所宛に郵送される宣伝用の紙媒体のイメージが強いDMですが、広い意味では、電子メールやSNSでのテキストメッセージ配信を利用した広告宣伝もDMに含まれます。ただし今回は、紙媒体のDMに絞って解説します。

そもそもDMは効果が見込めるのか疑問に感じている人もいるかもしれません。日本ダイレクトメール協会が2021年に実施した調査「DMメディア実態調査2021」によると、開封率が74.0%、閲読率は79.4%との高い測定結果が出ました。さらに行動換気率は21.0%。「ネットで調べた」が8.0%、「家族や友人などとの話題にした」が2.9%、「来店した」が1.8%、「購入した」が3.4%、「問い合わせた」が2.0%など、細かい効果も測定されました。

この調査では、「どこから来たか」がDMの受け取り意向を左右する実態も明らかになりました。以前に取引関係があった相手からの場合は、「受け取りたい」「まあ受け取ってもよい」が74.4%だったのに対し、過去に取引関係がない相手からの場合は、17.6%と大きな差が開きました。

出典:DMメディア実態調査2021|一般社団法人日本ダイレクトメール協会

https://www.jdma.or.jp/upload/research/20-2022-000021.pdf

効果測定をする前に確認すべき3つの数値

DMの効果測定を実施する前に確認しておくべき3つの数値があります。総DM費、損益分岐点(BEP)、そして顧客生涯価値(LTV)です。それぞれの詳細を解説します。

総DM費は「総DMコスト」とも呼ばれ、DMの制作や発送など、DMに関わるコスト全般を指します。総DM費は、DMの効果測定で注目する指標を算出する上でベースとなる数値です。可能なかぎり正確に算出しましょう。

総DM費

DM施策では印刷費や封入費、郵送費などさまざまなコストがかかります。総DM費に含まれるコストの種類や金額は、DMの種類や利用する印刷業者、発送数、発送方法でも左右されるので、それぞれの状況に合わせて把握することが必要です。

総DM費は、DMの総コストの把握だけでなく、利益分岐点などさまざまな指標を計算するために使用されます。計算には、以下の式が使用されます。

総DM費 = 制作費 + 印刷費 + 配送準備作業費 + 配送費

損益分岐点(BEP)

損益分岐点はBEPとも呼ばれ、Break Even Pointの略称です。損益分岐は会計や経理で使用される用語の1つで、企業の損益が0になる、つまり収益の額と費用の額がちょうど等しくなるポイントです。損益分岐点より上のポイントでは利益が出ることを意味します。

DMの場合、損益分岐点はDMの制作・配送などの総コストをカバーするための利益を上げる上で、最低限どれくらいの受注件数が必要かを意味します。BEPがわかれば、利益を出すために必要な最低限の受注件数を具体的に把握できます。

損益分岐点は、以下の式で計算します。

BEP = 総DM費 ÷ 荒利単価

例えば総DM費が400万円で、粗利単価が4,000円の場合は、次のとおりです。

500万円 ÷ 4,000円 = 1,000件

顧客生涯価値(LTV)

顧客生涯価値はLTV(Life Time Value)と言われることもある指標です。企業に対して、1人の顧客が生涯にわたってもたらす利益・売上を指します。例えば一度好きになった商品は何度も繰り返し購入するなど、顧客との取引関係は一度きりとは限らず、長期にわたり継続する可能性があります。

長いスパンでの利益を把握する上で、顧客生涯価値は重要な数値です。ただし、実際に生涯年数の顧客生涯価値を測定するのは現実的に困難なので、半年、1年、2年と期間を区切って計算します。DMでの効果測定の場合、LTVは受注1件あたりの費用対効果を把握するために使われます。

例えば1年間でのLTVを計算する場合、以下の式で計算します。

LTV = 1年間の総粗利益 ÷ 1年間の総新顧客獲得数

効果測定に用いられる5つの指標

DMの効果測定で注目すべき重要な指標は、レスポンス率、CVR、F2転換率、CPR、そしてCPOの5つです。それぞれの意味や計算方法、用途などを詳しく解説します。

レスポンス率(=反応率)

レスポンス率は反応率、あるいは行動喚起率も呼ばれます。DMを配送した人々のうち、問い合わせや資料請求、商品購入など、特定の行動を起こした人々の割合を意味します。商品購入までには至らなくとも、問い合わせや資料請求など、最終的な成果に至る前の行動を把握する際にレスポンス率が用いられます。

レスポンス率は以下の計算式で算出します。

レスポンス率(%) = レスポンス件数 ÷ DM発送数 × 100

例えば、1万人にDMを発送して、うち300人が何らかのレスポンスを示した場合は以下の通りです。

300 ÷ 10,000 × 100 = 3 (%)

レスポンス率は、DMを通じてどれくらいの人々が実際に具体的な行動を起こしてくれたかの効果を把握する上で重要な指標の1つです。

CVR(=最終的な成果につながった割合)

CVRはConversion Rateの略で、転換率やコンバージョン率とも呼ばれます。DM施策で最終的に欲しい成果にどれくらいつながったかを把握するために測定されます。

何をもって最終的な成果とするかは、DM施策ごとに異なります。例えば、商品カタログを送付する施策の場合、最終的な成果は商品の購入です。友人紹介キャンペーンの案内を送る施策の場合は、友人紹介の件数になります。

CVRは以下のように算出します。

CVR (%) = コンバージョン件数 ÷ DM発送数 × 100

例えば、1万人にDMでカタログを発送して、うち100人が商品を購入した場合、以下のように計算します。

100 ÷ 10,000 × 100 = 1 (%)

F2転換率(=リピート率)

F2転換率は別名引き上げ率とも呼ばれます。初回に商品を注文した顧客が、再購入に至ることをF2転換または引き上げと言います。

DMでのF2転換率は、例えば初回のサンプル注文顧客のうち、何割が再購入または本品購入に至ったか、などを知る上で活用されます。

F2転換率は以下の式で計算します。

F2転換率(%) = 再購入件数 ÷ 初回注文件数 × 100

例えば、初回は500人が商品を注文して、うち100人が商品を再購入した場合、以下のように計算します。

100 ÷ 500 × 100 = 20 (%)

CPR(=レスポンス1件あたりのコスト)

CPRとは「Cost Per Response」の略で、DM送付後に発生したレスポンス1件に要したコスト、つまりレスポンス1件あたりの獲得単価を指します。

CPRは以下の式で計算します。

CPR(円) = 総DM費 ÷ レスポンス件数

例えば、DM施策に総計300万円を投入し、600件のレスポンスを得た場合、以下のように計算します。

3,000,000 ÷ 600 = 5,000(円)

レスポンスを1件獲得するのに、5,000円の費用がかかっています。

CPO(=受注1件あたりのコスト)

CPOとは「Cosr Per Order」の略で、DM送付後に発生した注文1件に要したコスト、つまり受注1件あたりの獲得単価を指します。

CPOは以下の計算式で算出します。

CPO(円) = 総DM費 ÷ 受注件数

例えば、DM施策に総計300万円を投入し500件の受注を得た場合、以下の通りです。

3,000,000 ÷ 500 = 6,000(円)

1件の注文を獲得するのに6,000円の費用がかかっています。CPOの値が低くなるほど受注獲得に要するコストは低くなるため、費用対効果が高いと判断できます。

なお、DMでは定期CPOという指標も注目されます。DMで扱う化粧品や健康食品など、リピート率の高い商品では、1件のリピート注文に要するコスト、つまりリピート1件あたりの獲得単価が定期CPOです。

定期CPOは以下の計算式で算出します。

定期CP0(円)= 総DM費 ÷ リピート注文件数

改善につなげることが重要

DMで効果測定を行う場合は、ただ結果を算出して終わりではありません。測定結果に基づき、次の施策がより成果につながるよう、改善していくことが必要です。

改善に向けた具体的な方法の1つに、ABテストがあります。電子メールを活用したマーケティングでは、件名を2種類用意して反応率を比較するなどのABテストを頻繁に実施します。それと同じことを、DMでも実践してみましょう。

例えばデザインが異なるDMを2種類制作して送付して、その後の反応を比較します。より高い効果が得られたデザインのDMをベースに、PDCAを回しながら以後の施策でより良い結果につなげることが可能です。

DMでは、QRコードを使うことでより詳細な効果測定も可能です。DMにQRコードが印字されていれば、興味を持った顧客がスマートフォンを使い、QRコード経由でECサイトにアクセスしてくれます。オンラインでなら、具体的な顧客行動も高い精度で可視化できます。

効果測定の数値だけで次にとるべきアクションが見えてこない場合は、以上の方法を通じて可視化される顧客の具体的な行動をもとに成果の改善を図るのがおすすめです。

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まとめ:効果測定なら「DM+」がおすすめ

DMは制作・配送コストが高く、一見時代遅れの手法というイメージがありますが、実際には受け手の開封や反応を促す点で、依然として電子メールより高い効果が得られます。DMの効果をさらに高めていくには、効果測定を行いながら効率よくPDCAを回し、具体的な改善へとつなげる必要があります。

そんなときに役立つのが、QRコードを活用したDMの効果測定です。紙媒体のDM・QR経由でのデジタル手法の融合は、DMに新たな可能性をもたらします。「DM+」なら、顧客ごとに固有のQRコードをDMに添付することでより緻密な顧客行動のトラッキングが可能。効果測定の精度や解像度が上がることで、より良いDM施策を打ち出すことができます。DMの効果に伸び悩んでいるなら、ぜひ検討してみてください。

https://dmplus.jp/
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