インターネットの発達であらゆる情報が距離間の問題もなく、瞬時に伝わるようになった現代社会。
ビジネスから日常のコミュニケーションまで、デジタルを通じて人々がつながれる時代ともいえるでしょう。
しかし一方で、高度に発達したメディアでも最終的に情報を伝えるのは依然として言葉であり、端的には文章であることも事実です。
EメールやSNSもそうですが、その最たるものの一つが伝統的な「手紙」です。
本記事では、そんな手紙類の中でも「サンキューレター」にフォーカスし、効果的な書き方や印象に残るテクニックについて解説します。
サンキューレターとは?
サンキューレターとはその名のとおり、お礼の意味を込めて送る手紙のことです。
ニュアンスとしては個人のやり取りではなくビジネス用語として使われる傾向にあり、商品の購入やサービスの利用に対する御礼状といった意味合いが強いでしょう。
単純に感謝の意を伝えるのはもちろん、ユーザーや取引先に対する真心やフォローアップなどの追加情報を知らせる効果があるため、その後のビジネスに貢献することも期待されるツールです。
こうした機能を果たすことから、メールやSNSよりも丁寧な現物の手紙といった媒体を用いることが望ましいといえます。
サンキューレターを送るメリット
ではサンキューレターを送ることによって、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下に重要な4点を挙げましたので、実際にサンキューレターを送る機会にはこれらの要素を念頭に文面を作成しましょう。
感謝の気持ちを伝えられる
サンキューレターでは、改めて感謝の気持ちを伝えることができる点が大きなメリットです。
商品やサービスを購入・利用してもらった際には当然お礼を述べているはずですが、再度書面でその謝意を表すことでより丁寧な印象が強まります。
こうした感謝の気持ちを伝えることによってリピート率が向上することも報告されており、顧客・ユーザーの心象がその後の購買行動を大きく左右する証ともいえるでしょう。
売り手としても文語であれば口頭ではあまり言わない言葉も使えるため、感謝の表現もより幅広くなります。
イメージアップにつながる
サンキューレターの送付は企業や店舗のイメージアップにもつながります。
御礼状を送るという作法自体が丁寧なものですが、特に現代ではメールやSNSなどデジタルな方法でのお知らせが一般的であるため、紙の書状はかえって新鮮です。
文面は印刷の場合と手書きの場合でそれぞれに印象は変わりますが、いずれにしてもそうした現物としての手紙を用意するというひと手間に込められた真心が伝わりやすく、好感度を高める効果が期待できます。
自社・自身のことを思い出してもらえる
デジタルな手法ではなく、実体がある紙の書状としてのサンキューレターは受け取った人の記憶に残りやすいという特徴があります。
企業や店舗、あるいは個人事業主などの主体にとってこのような印象は重要です。サンキューレターを送ることによって、自社や自身のことを思い出してもらいやすくなるのは大きなメリットといえます。
また現物の手紙であることから保管されたり、読み返してもらえたりする可能性が高まることも特性の一つです。
顧客との関係構築につながる
上記で見てきたことの集大成ともいえるのが、サンキューレターを通じた顧客との関係構築です。
手紙という丁寧な方法で、礼に適った謝意を伝えることはビジネスへの誠実な姿勢を感じさせます。
また手間のかかる紙の書状を用意することは、顧客やユーザー一人一人に対して懇切に向き合っていることの証として印象付けられます。
良い印象を積み重ねると、目には見えないものの、企業や店舗、ひいては提供する商品・サービスへの信頼感へとつながるでしょう。
サンキューレターにはこんな内容を書くと効果的!
ではサンキューレターには具体的にどのようなことを書くとよいのでしょうか。
以下に効果を発揮する内容について6つのポイントを挙げました。
サンキューレターを送る際には、これらの要素を参考に文面を作成してみましょう。
まずは利用してもらった感謝を伝える
サンキューレターではまずもって、商品やサービスを購入・利用してもらったことへの感謝を伝えることが大切です。
買ってもらったことに対してはもちろんですが、どちらかというと数あるショップやサービスの中から自社・自店のものを選んでくれたことへの感謝や喜びを伝えるとよいでしょう。
競合他社を含め無数に存在する商品・サービスから選んでもらったという事実は売り手にとっては非常に嬉しいものです。その気持ちを顧客に伝えましょう。
商品やサービスの補足を盛り込む
サンキューレターには商品やサービスについての補足を盛り込むことも効果的です。
使い方や開発秘話、あるいはメンテナンス方法など、購入・利用してもらった内容に関連する事柄をお知らせするとよいでしょう。
顧客やユーザーにとっても自身が購入した商品、あるいは利用したサービスに関わることのため、送られてきたサンキューレターに併記された情報には関心の高いことが想定されます。
本人宛ての紙ダイレクトメールは高い閲読率を示すことが知られており、サンキューレターの送付機会には目を通してほしい内容を合わせて送るのが有効です。
パーソナルな内容を入れる
サンキューレターの文面には、顧客やユーザーに関わるパーソナルな内容を織り込むことも有効な方法です。
個人情報というニュアンスではなく、購入や利用の際に交わした会話などから、より個人に寄り添った言葉を選んでいくことを意味しています。
例えば何らかの悩みを持って健康サプリメントを購入・利用した顧客がいたとすると、その後商品を使って体調がどう変化したか安否を気遣うといった例が挙げられます。
パーソナルな内容をサンキューレターに入れることで、企業や店舗にとって一括多数の顧客ではなく、ワントゥワンコミュニケーションを行う個人であると印象付けることが可能です。
関連記事:パーソナライズDMとは?メリットや作成~発送までの流れを解説
ウエルカムの姿勢を伝える
サンキューレターで示すウエルカムの姿勢とは、再来店やリピート利用を促すことを意味しています。
ですがせっかく御礼状というスタイルで送る手紙に、あからさまな営業意欲をにじませてしまうと逆に好感を妨げる結果にもなりかねません。
そこでおすすめなのは気軽に来店してもらったり、商品・サービスに対するお問い合わせやご相談を寄せてもらえたりするようなアナウンスを行うことです。
こうした流れで自然にリピート利用へのアプローチとなり、なおかつウエルカムの姿勢を顧客に伝えることが可能となります。
イベントやキャンペーンがあれば告知する
サンキューレターは現物の手紙を送ることになるため、ダイレクトメール同様に高い閲読率を期待することができます。
もっとも重要なのは感謝の気持ちを伝えることですが、合わせてさまざまな情報をお知らせするツールとしての機能も果たします。
ポピュラーなものとしてはイベントやキャンペーンの告知が挙げられるでしょう。
それも営業感を前面に出すのではなく、顧客・ユーザーにとっても便益のある内容だとなお効果を発揮します。
こうしたお客様にとってのお得情報をお知らせするのも、サンキューレターで有効な方法です。
SNSも見てもらえるよう紹介する
サンキューレターでお礼以外に掲載する情報として、SNSを運用している場合はその紹介も有意義です。
SNSにはFacebook・Twitter・Instagram・LINE公式アカウント等々さまざまなものがありますが、QRコードを添付するなどしてそうしたページへの導線を設置するのもよいでしょう。
SNSの多くは無料で使える範囲が広く、企業や店舗の商品・サービスの認知拡大に効果を発揮します。
また顧客やユーザーからの声が直接届く窓口にもなり、上手に活用すれば強力なマーケティングツールになります。
そのためSNSアカウントがある場合は、サンキューレターでも積極的に告知をしましょう。
【業界別】サンキューレターの例文5つ
次にサンキューレターの具体的な文面を見てみましょう。
「アパレル販売」「へサロン・美容サロン」「車の販売店」「住宅展示場」「ネットショップ」の5業種について、以下に例文の一部をピックアップしました。
その意図も合わせて解説していますので、文面を作成する際の参考にしてください。
アパレル販売
例文:この度は当店の○○○をお買い上げいただき、まことにありがとうございました。
ほんの少し大きめのサイズをご所望でしたが、その後の着心地はいかがでしょうか?
もし改めてお裾上げやお袖直しが必要でしたら、いつでもお気軽にご相談くださいませ。
解説:アパレル販売における商材は直接身に着けるものという特性があることから、サンキューレターではお礼の文面に加えて着心地や使い心地を案じる内容が一例として挙げられます。
また、サイズの調整やメンテナンスなどの相談を気軽に受け付けるアナウンスによって、リピート利用を促進する効果もあります。
個人によってサイズや色などの適合に差異があるアパレルでは、細やかなワントゥワンコミュニケーションを感じてもらうことが重要です。
ヘアサロン・美容サロン
例文:先日は当サロンをご利用いただき、まことにありがとうございました。
今回のヘアカラーは○○様も初挑戦とのことでしたが、軽やかでたいへんお似合いでした。
その後の馴染みはいかがでしょうか。また、頭皮に荒れなどはございませんか。
当サロンではお肌のケアにも力を入れておりますので、何かお悩みがありましたらどうかお気軽にご相談ください。
これからの季節に合った新色をご用意してお待ちしております。
解説:ヘアサロン・美容サロンでは顧客とより距離の近いコミュニケーションを取ることが必要で、髪や肌といった身体に直接触れることからデリケートな業種といえます。
サンキューレターではお礼の後にしっかりと相手を褒めること、さらに以降の調子を気遣うことも重要です。
車の販売店
例文:この度は数ある販売店の中から当店に足をお運びいただき、まことにありがとうございました。
お話にありました、○○様のお父上がかつて乗っていらした○○は私にとっても思い出深い車で、懐かしい思いで伺っておりました。
今後もお車選びのことでご不明な点がございましたら、何なりとお気軽にお問い合わせくださいませ。
解説:車という高額な商品を扱う販売店ですが、この業種のサンキューレターでは営業色を出さないことをポイントとする考えがあります。
それというのも顧客がその一店舗で即決するとは限らず、複数の店で見積りを取って検討することも珍しくないためです。
そうした場合には心象が大きく左右することがあり、売ることへのアピールよりも落ち着いた信頼感を抱いてもらうことが重要となります。
そのため車の販売店でのサンキューレターは、お礼と会話内容への言及、アフターフォローの申し出くらいに留めるとよいでしょう。
住宅展示場
例文:この度は当展示場に○○様ご一家おそろいでお越しくださり、まことにありがとうございました。
お子様方も楽しそうに部屋を見て回っておいでのご様子、○○様のお気に召しましたら幸いです。
当展示場では家族構成に合わせたその他のモデルも多数ご用意しており、定期的に担当者が住宅資金のご相談を承っております。
ぜひ、またのお運びを心よりお待ち申し上げます。
解説:住宅はライフステージのうちもっとも高額な買い物ともいわれ、そのため顧客は購買に至るまでたいへん慎重になることが一般的です。
ただし住宅展示場に足を運んで実見する段階では、購入そのものは本格的に検討している顕在層の顧客であるといえます。
したがって住宅展示場のサンキューレターでは顧客のメリットになる情報や、購入を後押しするためのサポート体制などをお知らせするとよいでしょう。
ネットショップ
例文:この度は当サイトをご利用いただき、まことにありがとうございました。
お買い上げくださいました○○はお気に召しましたでしょうか。
ただいまメルマガ登録およびユーザー登録をいただいたお客様に、当サイトでのお買い物に使える○○%OFFクーポンコードをプレゼントしております。
この機会にぜひ、アクセスしていただけましたら幸いです。
解説:ネットショップはユーザーにとって手軽な購買方法として、その割合が徐々に拡大している業態です。
あえて紙のサンキューレターを送ることの好印象はもちろんですが、webならではの特典に誘導する仕組みも必要となるでしょう。
最終的には再びサイトに訪れてリピートしてもらうことが望ましいため、QRコードの添付なども有効な手段です。
関連記事:DMでクーポンを送ることのメリットや効果を高めるポイントを紹介!
サンキューレターをより効果的にするテクニック
サンキューレターの書き方や文例を述べてきましたが、これをさらに効果的なものにするための重要なポイントが存在します。
以下、そのテクニックについてすぐにでも取りかかることのできる6つの項目を見てみましょう。
当日に書いて発送する
サンキューレターは問い合わせや来店、購入や利用のあった当日付けで発送することが望ましいといえます。
これは御礼状を出すタイミングをなるべく迅速にするというマナーに則ったものであり、即座に書いて出すことが肝要です。
購入者・利用者にとっても記憶が新しいうちに間を置かずサンキューレターを受け取ることで印象がより鮮明となり、その後の行動喚起につながる可能性が高まります。
また消印が当日であれば購入・来店・利用の日について「本日は」と書くことが可能なため、その日のうちにサンキューレターを書いたことが顧客に伝わるという効果もあります。
ハガキで送る
サンキューレターはハガキで送ることがおすすめとされています。
それというのも丁寧な手紙であれば封書で送るのが正式ですが、開封の手間もなくそのまま内容を読めるハガキのメリットを活用するものです。
せっかくのサンキューレターも実際に読んでもらえない限りは効果を発揮しないため、閲読率を高めるための方法でもあります。
一方、ハガキを用いることによって制作から発送までのコストを抑えることもでき、送る側にとっての大きな利点にもなっています。
手書きで書く
サンキューレターを送る上で重要な点に、可能な限り手書きにするということがあります。
やはり真心を込めることが大切なツールであるため、手間ひまをかけて個人に宛てた思いを伝えるという姿勢を明確にする意味合いが重要です。
もしすべての文面を手書きすることが物理的に不可能という場合は、送る相手の名前および発送側の企業名や担当者名など一部だけでも直筆するという方法もあります。
いずれにせよ、量産したものという印象を相手に与えないことが肝要です。
顧客の名前を入れる
文中に顧客の名前を入れるのも重要なポイントです。
これはサンキューレターが個人に宛てた手紙である以上、その人だけへのメッセージであることを示すために端的かつ有効な方法といえます。
受け取った人にとっては自身が一括多数の顧客としてではなく、一人のユーザーとして扱われていることを感じられる部分でもあります。
したがってサンキューレターでの二人称にも「お客様」「ご利用者様」ではなく、顧客の名前を記すようにしましょう。
顧客の言葉を使う
サンキューレターで個人宛ての印象を強めるためにはある種のオリジナリティが望まれますが、文中で顧客の言葉を使うという方法があります。
これは購入や利用時の会話で顧客が口にした言葉を文面に織り込むという意味で、特長的な言い回しや印象に残った語句などをメモしておくとよいでしょう。
特にそういったものがない場合は、文中で「○○様のおっしゃったように」などと顧客が発した言葉を引用する形で書くことも可能です。
自分の言葉で書く
サンキューレターという感謝の意を表す書状では、自分の言葉で書くというのも大切なポイントです。
手紙文のテンプレートは無数にありますが、出来合いの文章にはパターンがあるためどうしても紋切り型の印象になる傾向があります。
マナーと言葉、表記や文法が適切であることが前提ですが、重要なのは文章の巧拙ではなく個人に宛てたオリジナリティです。
繰り返しになりますが、相手に量産感を与えないことが肝心なため、自分自身が考えた言葉で思いを伝えましょう。
サンキューレターの注意点
次にサンキューレターを書く上で注意すべき点について見ておきましょう。
3つのポイントに絞って以下に挙げました。サンキューレターを効果的なものにするために念頭に置いておきましょう。
頻繁に送りすぎない
お礼の気持ちを表すのは大切なことですが、サンキューレターを頻繁に送りすぎるのはかえって逆効果です。
相手にしつこい印象を与えてしまうと営業感が強くなるため、せっかくの気持ちも迷惑になりかねません。
的確なタイミングと真心込めた文面で、ピンポイントのアプローチを行うことがサンキューレターのセオリーです。
漢字や言葉は正確に
サンキューレターに限ったことではありませんが、用いる漢字や言葉は正確であるよう細心の注意を払いましょう。
漢字や言葉の間違いは、ひいては企業・店舗への信頼感にも影響を与えかねない問題です。
文章は下書きをし、さらに表記だけではなく内容の事実関係に間違いがないか入念にチェックすることをおすすめします。
手書きの文字は丁寧に書く
サンキューレターは手書きすることが有効な方法であることを先に述べましたが、その際にはできる限り丁寧に書くことが重要です。
これについては必ずしも文字の上手さを指すのではなく、相手が読みやすいよう、けっして走り書きなどのぞんざいな印象を与えないことが肝心といえます。
たとえ上手な字でなくとも丁寧に書くことで真心が伝わりやすくなります。
関連記事:手書きのDMを送るとどんな効果がある? DMの作り方や注意点などを紹介
まとめ
今回はサンキューレターの効果的な書き方と印象に残るテクニックについて解説しました。
顧客に直接送るサンキューレターは、いわゆるダイレクトマーケティングに含まれる手法の一つです。
ダイレクトマーケティングで有効な分析型DMを提供する「DM+」では、顧客ごとのDMに固有のQRコードを添付し、送付後のトラッキングができる「ユニークQRコード作成サービス」を展開しています。
これによりDMを受け取った後にどういった行動をとったか、あるいはそれをきっかけとして商品の購入やサービスの利用に至ったかをモニターすることも可能です。
紙DMを利用した販促・マーケティング施策に、ぜひご活用ください。