顧客単価が高い不動産業ではDMによる宣伝が高い費用対効果を生む可能性があります。1件の契約が大きな利益につながるため、反響の大きなDMを作成するのが重要です。
今回はDMを成功させるテクニックやターゲット別のDMの文例を紹介しますので、参考にしてください。
不動産DMを成功させるには?
不動産売買でのマーケティングにはDM(ダイレクトメール)が有効です。
DMとは自社の商品やキャンペーンなどを宣伝するために、法人や個人に直接送られるはがきや封書を指します。
DMは古くからおこなわれている宣伝方法の1つで、一般的には企業が保有している顧客名簿をもとに送付されます。
不動産DMのメリットは次のとおりです。
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- 不動産売買が見込める客に直接情報を送れる
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- まとまった資料やメッセージを複数回に分けて届けられる
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- 送付先の個人名が記載されているため手に取ってもらいやすい
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- DMの内容やデザインを工夫しやすく視覚に訴えやすい
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- 封書なら複数の書類を同封でき効率的なアプローチが可能
不動産DMを作成する際のポイント
不動産DMを作成する場合のポイントは次のとおりです。
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- DMを送るターゲットを考える
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- ターゲットの興味をひくタイトルをつける
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- 信頼を得られるような文章にする
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- お客様が知りたい情報を提供する
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- 行動を引き出す工夫をする
DMを送るターゲットを考える
まずはDMを送付するターゲット層を考えましょう。
DMを送付する相手次第で記載する内容が異なるためです。
不動産DMを送る相手として想定されるのは次のとおりです。
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- 物件を売りたい人(売却する予定がある人)
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- 物件を買いたい人(購入する予定がある人)
今すぐ物件を売買したい人の場合、自分から不動産会社に連絡を入れる可能性があるため、他社よりも早くアプローチする必要があります。
またこれから売買したり、提案されて初めて売買を考えたりする人は、DMによってニーズを喚起すれば、他社との競争が始まる前に関係性を築けます。
さらに、実際に売買の経験があれば、新しく売買を考えているかもしれません。つまり、過去に関係が合った顧客はすべてターゲットになると考えておきましょう。
ターゲットの興味を惹くタイトルをつける
ターゲットが決まったら相手が興味を惹くタイトルを考えましょう。
DMにおいてタイトルは重要であり、開封されるかどうかの鍵となります。
封書で送付するなら宛先の副題として内容が一目でわかり、開封の動機となるタイトルを考える必要があります。
相手にとって関係のある内容で開封するメリットが感じられるようなタイトルを考えましょう。
信頼を得られるような文章にする
不動産DMは信頼を得られるような文章にする必要があります。
不動産売買は高額な取引になるため、不審なDMではないかと警戒される可能性があります。
不動産売買では失敗が許されないため、信頼できない業者に売買が委ねられることはありません。
そのため、不動産DMでは売買の売込みよりも企業に対する信頼性や安心感を優先する必要があります。
DMの文面を通じてお客様の不安や不満を解消し、安心してもらうことを重要視しましょう。
お客様が知りたい情報を提供する
DMでは送る側が知ってほしいことを書いてばかりになってしまいがちです。
しかし重要になるのは伝えたいことよりもお客様が知りたい情報であることが理解しましょう。
そのためにはユーザーファーストで考え、情報を出し惜しみしないことが大切です。
例えば物件を案内するなら周辺の情報を案内したり、すでにわかっているデメリットがあるならあらかじめ知らせたりしてください。
お客様が納得できる情報を記載すれば、信用性の向上にもつながるでしょう。
行動を引き出す工夫をする
不動産DMにはお客様の行動を引き出すための工夫が必要です。
例えば電話で問い合わせてほしいと考えているなら電話番号が目立つように記載した方がいいでしょう。
またWebサイトにアクセスしてもらいたいならQRコードを記載して、スマートフォンからWebサイトに誘導するのも1つです。
当社が提供する「DM+」では顧客ごとに固有のQRコードを添付できるため、DMを送付した後のトラッキング(顧客一人ひとりの行動を分析)できます。
顧客の行動を可視化できるため、顧客がいつDMを見たのか、何に興味を持っているのかを把握しやすくなる他、見込み客を特定しやすくなるなどのメリットがあります。
また、別のコラムでQRコードの効果に着目した記事をご紹介しておりますので、是非ご参照ください。
▼チラシにQRコードを載せる効果とは?効果を上げるポイントや注意点を解説
不動産DMを送るターゲットの区分
不動産DMを送る場合のターゲットは次のように分類可能です。
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- 潜在顧客
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- 見込み客
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- 優良顧客
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- 休眠顧客
潜在顧客
不動産売買における潜在顧客とは、まだ一度も問い合わせなどを受けていない、または自社のことを知らないものの、不動産売買には興味があるお客様のことをいいます。
例えばマンションに住んでいる家庭で、子どもが大きくなったから一戸建ての購入を考え始めているなどのケースが潜在顧客に当たります。
見込み客
過去に問い合わせや資料請求などの行動を起こしてくれたものの、具体的な売買には至っていないお客様が見込み客です。
不動産売買に興味があるポテンシャルがある方と考えていいでしょう。
優良顧客
優良顧客とはすでに自社で不動産の売買をしたことがあるお客様のことです。
すでに関係性が構築できているため、定期的にDMを送付して関係維持を目指すことになります。
ずっと大切なお客様であると伝わるようなDMを送付すれば、企業に対する印象を良くできるでしょう。
休眠顧客
休眠顧客とは不動産の売買とはならなかったものの、個人情報を取得できるお客様のことを指します。
休眠顧客へは優良顧客と同様に関係性を絶たないことを目指したDMの送付が必要です。
不動産を購入したい方へ送るDMの文例
それでは不動産を購入したい方に送るDMの文例を紹介します。
潜在顧客・見込み客・優良顧客・休眠顧客に送付するケースをそれぞれ紹介するので参考にしてください。
購入:潜在顧客
潜在顧客は不動産の購入に興味を持っている可能性があるため、相手のニーズを考えてストーリーに沿った文面にするのが効果的といえます。
潜在顧客へのDMのタイトル例は次のとおりです。
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- 一戸建ては諦めるしかないと思っている方に耳寄りな情報です!
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- そろそろ一戸建てに住みたい!と思っている方へ
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- マンションを買う金額で一戸建てが購入できます!
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- ファミリーの方に人気のエリアで新築戸建て物件をご紹介します
DMの例文の一例は次のとおりです。
「○○エリアで新築の一戸建ては諦めるしかないのかな」——このようにお考えの方に耳寄りな情報です! ファミリー層に人気の○○エリアに新築一戸建て物件が登場致しました! ○○駅から徒歩10分で近隣へのアクセスも抜群!徒歩圏内にはショッピングモールや人気スーパーもあります!月々8万円程度の返済でローン負担を抑えられます!ぜひ一度お問い合わせください! ・〇月○日申し込み受付開始 ・人気の高いエリアでの募集ですのでお急ぎください! ・見学会へのご参加で○○プレゼント! [物件住所]○○県○○市○○町○丁目○○ [土地面積]○○平米 [建物面積]○○平米 [最寄り駅]○○線○○駅より徒歩10分、○○線○○駅より徒歩○○分 [お問い合わせ]https://○○○-○○○.jp |
購入:見込み客
見込み客は不動産購入に興味を持っている可能性があります。過去の問い合わせで家族構成や希望条件などの情報を入手しているなら、関連する情報をDMに盛り込むのが重要になります。
見込み客へのDMのタイトル例は次のとおりです。
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- ○○エリアで2階建て4LDKの中古一戸建ての購入を考えている○○様へ
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- 小学生と中学生のお子様がおられる○○様
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- 大きな一戸建て住宅を探している○○様へ
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- マンションへの住み替えを検討している○○様へ
DMの例文の一例は次のとおりです。
○○様 先日は弊社へのお問い合わせをいただき誠にありがとうございました。 ○○不動産の○○でございます。 今回は○○エリアに○○様が希望されていた条件にピッタリの物件が登場致しましたので、そう急にお知らせしたくご連絡させていただきました。 [物件住所]○○県○○市○○町○丁目○○ [物件価格]○○○○万円 [築年数]○○年 [土地面積]○○平米 [建物面積]○○平米 [間取り]4LDK [最寄り駅]○○線○○駅より徒歩10分 [URL]https://○○○-○○○.jp ○○駅より徒歩1分という立地で、周辺には学校やスーパー、病院、市役所、大きな公園、車で10分以内の距離に有名ショッピングモールがございます。 中学生と小学生のお子様がいらっしゃる○○様が安心して暮らしていただける環境が整っております。 物件価格も○○○○万円と希望されていた価格帯となっている他、住宅ローン減税の対象となっているため返済負担も軽減可能です。 もしご関心がございましたら○○までお気軽にご連絡ください。さらに詳細な情報をお伝え申し上げます。 |
購入:優良顧客
すでに不動産購入を経験している優良顧客に対しては、今後も良い関係性を維持するためのDMを送付しましょう。
自社や担当者を頼ってもらえれば、次の機会があれば声が掛かるかもしれません。
優良顧客へのDMのタイトル例は次のとおりです。
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- 今月にお誕生日を迎えられる○○様へ
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- ご自宅を購入されてから15年の節目となる○○様へ
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- 来月還暦を迎えられる○○様へ
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- お子様が独立された○○様へ
またこれまでのタイトルとは経路が異なりますが、次のようなタイトルも有効です。
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- 購入から1年が経過しますが気になる点などはございませんでしょうか?
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- 購入されてから困ったことはございませんか?
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- 資産運用のために相談されたいことはございませんか?
DMの例文の一例は次のとおりです。
○○様 いつも○○不動産をお引き立ていただき誠にありがとうございます。 弊社で物件をご購入いただいてから5年が経過致しますが、不便に感じられる点やお気付きになられる点はございますか? つきましては定期点検で訪問させていただきたく存じます。 どのようなことでも構いませんので担当者までご意見をお寄せください。早急に対応致します。 なお、具体的な点検日につきましては改めてお電話で確認致しますので、ご都合の良い日程をお知らせください。 今後も○○不動産との末永いお付き合いをお願い申し上げます。 ○○不動産 担当○○ |
購入:休眠顧客
不動産購入には至らなかったものの、個人情報を取得できている休眠顧客に対しては、有益な情報を提供するダイレクトメールが有効です。
業界の動向や生活の知恵などをまとめた情報誌の送付を検討するのもいいでしょう。
休眠顧客へのDMのタイトル例は次のとおりです。
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- すぐに真似できる水回りのDIYアイデア
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- ファミリー層に人気の○○エリアを徹底解明!
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- 住宅ローン減税の効果的な使用法を解説
DMの例文の一例は次のとおりです。
○○様 先日は弊社へのお問い合わせをいただき誠にありがとうございます。 その後、不動産の購入について進展はいかがでしょうか? 今回はお問い合わせいただいた御礼として弊社で発行する情報誌を送付させていただきます。 ○○様の日々の生活に活かせるようでしたら幸いです。 今後も○○不動産をよろしくお願い申し上げます。 |
不動産を売却したい方へ送るDMの文例
次に不動産売却を考えるお客様へのDMの文例です。こちらも各層への例文をそれぞれ紹介します。
売却:潜在顧客
不動産売却を考える潜在顧客に対しては丁寧な文面のDMを送ることが重要です。
警戒されるのではなく信頼してもらえるような文面を意識しましょう。
タイトル例は次のとおりです。
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- ○○エリアで不動産を所有されている○○様
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- 自宅の売却を検討されている○○様へ
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- お子様の成長に合わせて住み替えを検討されている○○様へ
DMの例文の一例は次のとおりです。
○○エリアで不動産を所有されている○○様 はじめまして。○○不動産の○○と申します。 弊社では○○県内の不動産売買仲介業を行っている不動産会社でございます。 このたび、○○様所有の○○エリアの不動産について売却を検討いただけないかを伺いたくご連絡申し上げました。 ○○様が不動産を所有されている○○エリアは近年ファミリー層を中心に人気を集めており、弊社にも同エリアで不動産購入を希望されている方がいらっしゃいます。 弊社の契約事例では○○エリアの土地単価が坪○○万円となっており、同エリアで多くのご縁をつないで参りました。 ○○様のご納得いただけるご提案をさせていただければと存じますので、お気軽にご相談いただければ幸いでございます。 何卒よろしくお願い申し上げます。 |
売却:見込み客
不動産売却の見込み客は、すぐに売却したい方や迷っている方、価格だけ知りたい方に分かれます。そのため各ターゲットの応じたDMを送付するのが重要です。
ここではすぐに売却したい方に向けたDMの例文を紹介します。
タイトル例は次のとおりです。
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- ○○エリアで自宅の売却を検討されている○○様へ
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- 相続された実家の売却を検討されている○○様へ
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- 自宅の売却価格を知りたいとお考えの○○様へ
DMの例文の一例は次のとおりです。
○○エリアで自宅の売却を検討されている○○様へ ○○不動産の○○でございます。 先日はご自宅の売却についてご相談いただき誠にありがとうございました。 今回ご連絡申し上げたのは○○様が売却を検討されているエリアにて戸建て住宅を購入したいというご家族がいらっしゃるためでございます。 学区を変更しないでマンションから戸建てへの住み替えを検討されており、1年以内に転居したいと現在物件を探していらっしゃいます。 弊社の契約事例では○○エリアの土地相場が坪○○万円となっております。 ○○様のご納得いただけるご提案をさせていただければと存じますので、お気軽にご相談いただければ幸いでございます。 何卒よろしくお願い申し上げます。 |
売却:優良顧客
すでに不動産を売却している優良顧客に対しては、今後良好な関係を継続するためのDMを送ります。
定期的に感謝を伝えられるようなDMを送付することで関係を維持しやすくなるでしょう。ここでは感謝状の文面例を紹介します。
拝啓 青葉若葉のさわやかな季節 ○○様につきましてはますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。 このたびは弊社との格別のお取引を賜り、誠にありがとうございます。 心より嬉しくうれしく思うとともに、担当者として責任も感じております。感じる所存です。 今後は微力ながら○○様のお力になれますよう誠心誠意精進致しますので、末永いお付き合いをよろしくお願い申し上げます。 略儀ながら書中をもって御礼申し上げます。 梅雨のはしりのように気まぐれな空の下、十分お体にお気を付けください。 敬具 |
売却:休眠顧客
不動産売却での休眠顧客に対しては、敬遠されないようにするために売り込まないDMを意識しましょう。
具体的には顧客のためになる情報の提供をメインに、業界の動向やノウハウなどをまとめるのが有効です。
タイトル例は次のとおりです。
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- 最新の人気エリアのご紹介
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- 相続物件を高く売る方法○選
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- 適切な空き家対策で副収入を確保しよう
DMの例文の一例は次のとおりです。
○○様 先日は弊社へのお問い合わせ、誠にありがとうございました。 その後、不動産の売却の状況はいかがでございますか? 今回は弊社へのお問い合わせの御礼といたしまして、不動産の売却や経営などのトピック情報をまとめた情報誌ペーパーを送付させていただきました。 お役に立てれば幸いでございます。 今後とも○○不動産をよろしくお願い申し上げます。 |
不動産DMを作成する際の注意点
不動産DMを作成する際には次の点に注意しましょう。
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- 冒頭で謝らない
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- 売り込まない
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- マイナスイメージの文言を入れない
冒頭で謝らない
手紙の冒頭で相手に謝ってはいけません。
DMを送付している時点で謝罪の言葉は火に油を注ぐだけです。
お客様に対して有益な情報を提供するためにDMを送付しているため、謝る必要がないことを理解しておきましょう。
売り込まない
不動産売買を売り込み過ぎるDMにも注意してください。
売り込む気持ちが強い文面では、相手が身構えてしまう可能性があるからです。
お客様が読みたいと思える文面を意識して、安心して読んでもらえるDMを送付するのが重要です。
マイナスイメージの文言を入れない
不動産売買のDMにはマイナスイメージの文言を入れてはなりません。
例えば不況や不透明な経済状況については、文章にする必要がないですし、相手もすでに理解しています。
不安を煽ると印象が損なわれる可能性があるため、十分注意してください。
まとめ
今回は不動産売買におけるDMを成功させるテクニックを紹介しました。
不動産DMは送付するターゲットを見極め、相手が読みたくなるようなタイトルと信頼してもらえるような文章を作成するのが重要です。
各ターゲットに対する文例を参考にしていただき、DMを送る相手に適しているDMを作成できるようにしましょう。
また不動産DMを送付する手段として有効なのが「DM+」です。顧客ごとに個別のQRコードを添付でき、DMを送付した後の顧客の行動をトラッキングできます。
より効率的なDM戦略を進めたい方は利用を検討してみてください。