M&A業界における集客にDMは使える? 効果的に集客を行うポイントを解説!

M&A仲介会社が新規顧客を獲得するにはさまざまな方法がありますが、DMも有効な施策の一つです。活用するにあたっては、M&A業界の集客のトレンドやDM集客の概要やポイントを理解しておくことが重要です。

そこで本記事では、M&A業界の集客の現状とトレンド、一般的な案件獲得・集客方法を解説します。記事後半では、M&A業界における集客にDMは使えるのか、活用する際のポイントや注意点なども解説するのでぜひ参考にしてください。

M&A業界における集客の現状とトレンド

近年、日本のM&A市場は右肩上がりに拡大しており、特に中小企業同士の事業承継型M&Aが増加しています。後継者不足や経営者の高齢化を背景に、M&Aは経営の選択肢として広く認知されるようになっています。

中小企業庁の公表した資料「事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について」によると、中小企業のM&Aの件数は2014年度が362件だったのに対し、2022年度は5,717件です。

こうしたM&Aの活性化に伴い、M&A仲介業界も急速に拡大し、競合他社との案件獲得競争が激化しています。競合は他の仲介会社だけではなく、マッチングサイトや金融機関、公的機関などもあります。そのため顧客に自社を選んでもらうための差別化が重要です。

このような状況の中、M&A仲介会社の集客方法として注目される手法の一つがダイレクトメール(DM)の活用です。ターゲットを絞った上で、信頼性ある情報を直接届けられるDMは、案件獲得に向けた強力な接点となり得ます。

M&A仲介会社における一般的な案件獲得・集客方法

M&A仲介会社における一般的な案件獲得・集客方法には、以下があります。

  • コンサルティング会社からの紹介
  • 金融機関からの紹介
  • M&Aマッチングサイトの利用
  • 人脈の活用
  • SNSの活用

それぞれの案件獲得・集客方法の概要を解説します。

コンサルティング会社からの紹介

M&A仲介会社が案件を獲得する、または集客する方法として、コンサルティング会社からの紹介は主要な経路の一つです。経営戦略や事業再編を支援する過程で、M&Aの必要性が顕在化することがあり、その際にコンサルティング会社が仲介会社を紹介するケースが見られます。

仲介会社とコンサルティング会社の主な違いは、前者が買い手と売り手のマッチングを担い、交渉から契約成立までサポートするのに対し、後者は戦略設計やM&Aの必要性などを判断する点です。

金融機関からの紹介

金融機関からの紹介で、新規顧客を獲得できるケースもあります。

銀行や信用金庫などの金融機関は、企業の資金繰りや財務状況を把握しており、事業承継や債務整理の相談を受けた際にM&Aを提案し、その仲介を提携するM&A仲介会社へ依頼する場合があります。

M&Aをする企業側にとっても、普段から取引している信頼のおける金融機関からの紹介なので、前向きにM&Aを検討してくれるでしょう。

M&Aマッチングサイトの利用

近年、M&A仲介会社の案件獲得手段として、マッチングサイトの存在感が高まっています。こうしたプラットフォームは、双方のニーズを可視化しつつ、仲介業者による情報提供の場としても機能しています。仲介会社はこれらのプラットフォームを活用することで、新たな売り手・買い手層にアプローチできる点がメリットです。交渉から契約までスムーズに進められるメリットもあります。

一方でマッチングサイトは便利な反面、情報の真偽や信頼性の見極めが必要であり、また交渉に関するサポート体制が乏しいなどの課題があります。

人脈の活用

面識のある税理士や公認会計士からの紹介により、案件獲得につながるケースもあります。人脈を介した案件獲得は、信頼性が高く、顧客のM&Aへの検討度も高い傾向にあります。日頃からこうした専門家や事業オーナーなどと意識的に関係構築をしておくことで、案件獲得のチャンスを増やせるでしょう。

ただし、常に安定して案件が紹介されるとは限りません。そのため、他の集客方法と併用することが大切です。

SNSの活用

M&A仲介会社にとって、SNSは情報発信と認知拡大の手段として有効です。特にX(旧Twitter)やLinkedInなどを通じて、売却を検討しているオーナーや、潜在的な買い手層に直接アプローチできます。事業承継に関する有益な情報や実際の成功事例を継続的に発信していれば、売却を検討している経営者の方から問い合わせを受けることも考えられます。

ただし、SNSを通じた案件流入の中には、内容の精査が必要な悪質案件が紛れていることもあり、慎重に見極めるようにしましょう。

M&AのDM集客を効果的に行うためのポイント

前述のように、M&A仲介の案件獲得にはDMも役立ちます。ただし、やみくもにDMを送っても期待する効果は得られないでしょう。DMを使った集客を効果的に行うためのポイントは、以下の通りです。

ターゲット設定の明確化

DMを使った集客の効果を高めるためには「誰に送るのか」というターゲット設定を明確化しておくことが重要です。対象となる企業の業種・事業規模・従業員数・地域・経営課題・株主構成に加えて、M&Aへの興味関心度を具体的に設定します。

ターゲットを絞り込むことで、訴求内容のズレを防ぎ、反応率を高めることが可能です。例えば、事業承継を意識しているがなかなか継承先が見つからない中小企業の経営者に向けて「後継者不在の問題を解決しませんか?」と提示するDMは「M&Aをしませんか?」という漠然とした内容よりも高い関心を引きやすくなります。

誰に・なぜ・どのような価値を届けるのかを明確にし、相手の立場や課題に寄り添ったメッセージを送ることが、成果につながるDM集客の基本です。

DMの内容とクリエイティブ

DM集客において、ターゲットに届いたメッセージが読まれ、反応を得るためには、内容の作り込みとクリエイティブの質が極めて重要です。テンプレート的な文面や一方的な営業メッセージでは他のDMに埋もれてしまうだけでなく、嫌悪感を抱かれる可能性もあります。相手の興味関心や課題に寄り添った構成と表現を意識しましょう。

ただ単に「M&Aのご相談を承ります」などのメッセージではなく「後継者不足に悩んでいた経営者が1年後に売却に成功したストーリー」などと具体化すると、受け手の関心をより強く引き付けることができます。

またDMには問い合わせ先やURLを明記し、サービスの詳細情報への導線を設けることで反応率が向上します。形式も工夫し、封書だけでなくA4ハガキなど読んでもらいやすい形を選ぶことが効果的です。

DMの送付頻度とタイミング

DMによる集客効果を高めるには、送付頻度とタイミングの設計も重要な要素です。一度送って終わりではなく、一定の間隔で継続的にアプローチすることで、顧客と定期的に接点を持つことができ、M&Aを検討してもらいやすくなるでしょう。業種や発信内容に応じて調整は必要ですが、一般的には1〜2カ月ごとの送付が効果的とされています。

またDMを送付する際は、曜日にも配慮すると、開封率や反応率の向上が期待できます。例えば、月曜日~金曜日が営業日の企業に送る場合、月曜日は週初めで業務が立て込んでいる企業が多く、DMの確認を後回しにされやすい傾向があります。週の間の水曜日や、週末の金曜日なら目を通してもらいやすくなるでしょう。

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M&A仲介会社のDM戦略における注意点

M&A仲介会社がDMを送る際、以下の点には注意しなければなりません。

  • 虚偽・誇大広告をしない
  • 曖昧な表現や一方的な情報提供を避ける
  • 契約を急がせるような表現を避ける
  • 個人情報保護へ配慮する

それぞれの注意点を詳しく解説するので、実際にDMを活用する際の参考にしてください。

虚偽・誇大広告をしない

DMを活用する際には、訴求力を高めるあまり、虚偽や誇大な表現を用いてしまわないよう十分な注意が必要です。

近年多いのが「貴社を買いたい企業がいます」「すぐに買い手が見つかります」などの断定的な表現です。こうした表現は、顧客の興味を引きやすいものの、顧客の誤解を招きトラブルにつながる可能性があります。

またこうした虚偽・誇大広告は、M&A仲介協会の自主規制ルールにより制限されています。業界内や顧客からの信頼を失わないためにも、このような表現をDMの内容に入れないようにしましょう。

その他「成約件数No.1」などの実績表現も、明確な根拠がない場合は景品表示法に抵触する可能性があるので注意が必要です。

曖昧な表現や一方的な情報提供を避ける

DMでの訴求においては「多くの企業に選ばれています」「多数の実績があります」などの曖昧な表現はなるべく避けましょう。具体性に欠ける言葉は読み手の不信感を招きやすく、かえって逆効果になる可能性も考えられます。「直近3年間で累計50件の成約実績」など、数字や事実に基づいた情報を示すことが重要です。ただし、前項で述べたように、使用する数字には根拠が伴っている必要があります。

また、DMでは一方的な情報の押し付けではなく、相手の立場や関心に寄り添った内容で作り込むことが重要です。メリットやサービスの特徴を一方的に伝えるだけだと、ミスマッチにつながる可能性があります。

顧客の状況に応じた具体的な課題解決の事例を紹介することで、受け取り側も自分ごととして考えやすくなり、反応率の向上に期待できます。

契約を急がせるような表現を避ける

DMを活用する際には、契約を急がせたり、今すぐに即断を迫ったりするような表現は避けましょう。「今すぐご契約いただければ特別価格でご案内します」「早期にご決断いただける企業様を優先します」といった表現は、M&Aを急ぐ顧客からの問い合わせが見込まれる一方で、取引先を慎重に検討する余裕がなくなることで、ミスマッチやトラブルにつながる可能性があります。

特にM&Aは企業の将来に関わる重要な意思決定であり、十分な検討時間を与える必要があります。仲介会社としては、相手の意思決定のタイミングに無理には干渉せず、適宜情報を提供するなど誠実な対応を心掛け、信頼関係を構築していきましょう。

個人情報保護に配慮する

M&A仲介会社がDMを送付する際は、個人情報保護法を遵守していることが大前提です。特に、登記簿謄本やリサーチ会社の企業リストから取得した代表者の住所や氏名を利用する場合、それが自宅住所である可能性もあるため、個人情報保護への配慮が欠かせません。情報の入手経路と利用目的を社内で明確にし、使用範囲や保管方法についても管理体制を整備することが求められます。

また、相手がDMの受け取りを拒否した場合には、すぐにリストから削除し、再送付しないように社内共有を徹底しましょう。

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今後のM&A業界におけるDMの可能性と課題

ここでは、今後のM&A業界におけるDMの可能性と課題をご紹介します。

DMの可能性

M&A業界において、DM(ダイレクトメール)は今後も有効な案件開拓手法の一つとして注目されています。

特に、事業承継ニーズの高まりを背景に、M&Aに関する情報に日常的に触れる機会が限られている中小企業に対しては、紙媒体による接点が一定の効果を発揮します。Web広告やメールが主流の現代だからこそ、紙のDMは目に留まりやすく、他社と差別化された接点を築ける手段となり得るでしょう。

とりわけ地方においては、M&Aに精通した相談先が都市部ほど多くないため、地域に特化した情報提供を行うことで、潜在ニーズを顕在化させるきっかけになり得ます。

DMの課題

DMはターゲットに直接アプローチできる手段として有効ですが、一方でいくつかの課題も存在します。

まず、郵送コストや印刷費といった初期費用がかかる点は、Web広告やSNSなどのデジタル施策と比べて負担になりやすいです。また、送付先のリストの精度によって成果が大きく左右されるため、リストの選定・更新が不十分だと、開封されずに終わってしまう可能性もあります。

DMは受け手に読まれなければ効果がないため、デザインや文章に工夫を凝らさないと、他の広告に埋もれてしまい、反応率が下がる可能性があります。特に現代では、M&A仲介業者間の競争が激化しており、DMのクリエイティブの質をさらに向上させることが重要です。

DMは紙媒体ならではの強みがありますが、より高い集客効果を狙うなら、Web広告やSNS、メールマーケティングなどのデジタル施策と組み合わせて活用しましょう。複数チャネルからの接点を持つことで、見込み顧客の関心を引き付けやすくなり、案件獲得の見込みが高まります。

まとめ

M&A仲介業界が急速に拡大している昨今、競合他社との案件獲得競争が激化しています。仲介会社を経由するだけでなく、マッチングサイトや金融機関なども相談の候補先になっているので、新規顧客獲得に向けて施策を強化していくことが重要です。

M&Aコンサルティング会社からの紹介、金融機関からの紹介、SNSを活用することに加えて、DMを活用して集客を図るのも良いでしょう。実際に活用する際は、ターゲットを明確化する他、クリエイティブを強化する、送付頻度とタイミングに気を付けるなどのポイントを意識しましょう。

DMを活用する際には注意点もあるので、効果を高めるためにはDMの企画・印刷・投函までの一連の流れを一貫して受注している企業への依頼を検討してみてください。DM PLUSは、DMのプランニングから印刷、メール便・郵便での投函までをワンストップで支援するサービスです。DMの効果を高めたいとお考えの場合は、ぜひご利用をご検討ください。

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