[導入]
一口にビジネスといっても実に多くのステップや工程があり、そのため専門の業務を行う部署や職掌が細分化されています。
そのうち実際に取引先や顧客と顔を合わせたりコンタクトを取ったりするフィールドセールスの営業職は、しばしば「最前線」と表現されるポジションです。
一方、その前段階で自社の商品・サービスをプロモーションしたり、有望な見込み顧客にアプローチしたりといった職務も重視されています。その役割を担うのが「インサイドセールス」と「マーケティング」です。
本記事ではそんなインサイドセールスとマーケティングの関係を述べ、両者の違いや連携方法について解説します。
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、広義には内勤営業とも呼ばれるように電話やメール、チャットなどを用いて非対面で行う営業手法を指しています。
顧客になる可能性があるターゲット層に対してアプローチをかけることで、リードとして育成した上で対面のフィールドセールスへとつなげるといった役割を担います。
また狭義にはその業務を行う部署や人員を指す場合もあります。単体の部署として設けられる他、営業の部署に配置される場合とマーケティングの部署に配置されるパターンがあります。
インサイドセールスが注目される背景
日本国内でインサイドセールスの手法が認知されるようになったのは、およそ2005年以降のこととされています。
近年インサイドセールスに対する注目や関心が高まっている要因の一つに、2020年以降のコロナウィルス感染拡大があります。
外出規制やソーシャルディスタンスの推進などによって、テレワークが推奨され導入する企業が急増しました。従来のように自由な対面営業が困難となったため、電話やメール、オンライン会議などの非対面による営業が積極的に行われるようになりました。その流れの中でインサイドセールスに注目が集まったのです。
またこのような社会情勢に加えて、効率的な営業活動を可能にするというメリットが認識されるようになってきています。
マーケティングとは?
マーケティングは比較的よく見聞きする言葉で、一般企業でも専門の部署を設けたり営業活動に伴う施策として行われたりしています。
マーケティングとは商品・サービスに対するニーズを分析して有望な見込み顧客を育成し、購買行動を喚起するための活動や施策全般を指します。
狭義の意味では、それを実施する部署や人員を意味する場合があり、例えばマーケティング部やマーケティングの担当者を指すことがあります。
マーケティングの業務自体は広範ですが、分析や戦略立案に比重が置かれることも多く、営業系の職掌とは異なる系統に位置付けられています。具体的には、Web広告やSNSの発信などによって自社製品をアピールする業務や、自社製品・サービスの提案や紹介をまとめたホワイトペーパーを作成する業務などを担当します。
営業プロセスを分業するメリット
電話やメールでのアプローチそのものは従来の営業活動でも行われてきました。では従来は一つの営業プロセスの一つだった業務を、インサイドセールスとして分業するのはなぜでしょうか。
営業プロセスを分業することによって、得られるメリットは主に3つあります。それぞれ解説します。
業務効率を上げられる
営業プロセスをインサイドセールスとフィールドセールスに分業することのメリットの一つに、業務効率を上げられる点があります。
従来の営業職では見込み顧客の絞り込みやアプローチ、面会から成約までを一貫して行うことが一般的でした。
しかしインサイドセールスによって顧客の発掘・刈り取り・育成を引き受けることで、フィールドセールスは成約可能性の高いターゲットへの営業に注力することが可能となります。
分業によってそれぞれの営業活動が活発化し、各専門の職掌に集中してミッションに当たることが可能です。
また、各員の得意な領域に応じて配置転換することも容易となり、営業職におけるフレキシブルな運用も実現できます。
作業や案件の属人化を防げる
営業プロセスの分業によって、作業や案件の属人化を防ぐ効果もあります。
ビジネスにおける属人化とは、特定のスタッフしかその作業ができない、案件を取り扱えないという意味です。
一貫して同じ人が担当できれば理想的かもしれませんが、さまざまな理由でそれが不可能となる事態が起こるのは珍しくありません。
分業によって顧客情報や営業ノウハウを集約・共有することで、各員がバックアップとしても機能し、何らかのトラブルにも迅速かつ柔軟な対応が可能となります。
コストを削減できる
営業プロセスを分業することでコストの削減も可能です。
例えばインサイドセールスの業務にのみ特化すれば、見込みの低い顧客との商談時間や対面のための移動時間を削減できます。
それぞれのコア業務に集中することで業務効率が上がるため、結果的にコストカットにつながります。
また各業務範囲が一定に集束するため、引き継ぎや教育にかかるコストも最低限に抑えられて効率的です。
インサイドセールスとマーケティングの共通点
ここまでに見てきたように、インサイドセールスとマーケティングには共通する点が多くあります。
細かい分類では両者は異なる手法・職掌ではありますが、性質の上から重複する傾向のある業務あります。成約の確度が高い有望な見込み顧客を抽出あるいは育成し、フィールドセールスへとつなげるというミッションが大きな共通点です。
インサイドセールスは電話やメールによる非対面手段でのアプローチ、マーケティングは分析や戦略立案などのプランニングであるのが特徴ですが、両者は比較的近い位置にある部署といえるでしょう。
インサイドセールスとマーケティングの違い
次にインサイドセールスとマーケティングの違いについて見ていきましょう。
職掌を区分する明確な基準となる3つの要素を以下に挙げ説明していきます。
業務の目的
インサイドセールスとマーケティングは、まず業務の目的が異なります。
インサイドセールスは「見込み顧客の育成」、マーケティングは「見込み顧客の発掘」が業務の目的です。
従って、マーケティング部門で発掘した見込み顧客の情報をインサイドセールス部門が引き継ぎ、電話やメールなどでアプローチすることで有望な見込み顧客(リード)に育成していくという流れもよくあります。
対象者
インサイドセールスにおけるアプローチの対象者は、マーケティングが集めたリード全般です。対してマーケティングでは顧客全般が対象になります。
マーケティングが見込み顧客を発掘する段階では、まだどのターゲット層が有望なのかわからない状態です。初期段階では広範囲に働きかけていきます。
そこからさまざまな条件付けをして見込み顧客のターゲティングを行いそのデータを元にインサイドセールスがアプローチをかけ、リードとして育成していくのが一つの流れとなります。
アプローチ方法
見込み顧客へのアプローチ方法にも違いがあります。マーケティングではSEO・Web広告・セミナー・キャンペーンなどを活用してアプローチを行いますが、インサイドセールスでは電話・メール・オンラインミーティングツールなどが一般的です。
マーケティングが担う見込み顧客の発掘という役割では初期段階ターゲットが不特定多数となるため、広範にアプローチできる手法が取られます。
一方のインサイドセールスではマーケティングが刈り取った見込み顧客という特定多数にアプローチをかけるため、リモート手法の電話やメール、Web会議システムなどを用います。
各セクションの連携を高めるポイントと方法
ここまでインサイドセールスにフィールドセールス、それらの前段階に位置するマーケティングなど営業プロセスの分業について説明してきました。
それぞれの役割や職務遂行のための手法は異なりますが、いずれも最終的には顧客を獲得して自社の商品・サービスを利用してもらうことが目的です。そのためには各セクションで連携を取りながら目標を達成していくことが必要となります。
以下に各セクションの連携を高めるためのポイントと具体的な方法について解説します。
営業セクション全体の目標を共通認識する
営業プロセスを分業化した場合、セクション全体で目標に対する共通認識を持つことは重要です。
これまで見てきたとおり、分業された営業プロセスではそれぞれの役割と成果のあり方が異なるため、部署ごとに独立した目標設定となる傾向があります。
それ自体が不適切なわけではありませんが、結果として各部署の成果がうまく連動しなかったり仲間意識が薄れたりといった弊害も考えられます。
営業セクション全体で共通のゴールを目指し、各部署の成果はそのためのステップであることを意識づけましょう。
役割分担を明確にする
インサイドセールスとマーケティングの業務には似た部分があることを先に述べましたが、厳密な線引きがあるわけではありません。
従って場合によっては両者における責任の所在やタスクが宙に浮いてしまう可能性もあるため、それぞれの役割分担や業務範囲を明確にしておくことがポイントです。
例えば顧客対応のルートをフローチャートにして状況ごとの担当者を可視化するなど、誰が見てもわかるような工夫を行う必要があります。
トスアップの条件を共有する
各セクションの連携を高めるためには、トスアップの条件を共有することも大切なポイントです。
それぞれに似た役割や重複しそうな業務があるため、各セクションの責任範囲を明確にしてどの時点で次の部署に引き継ぐかをしっかりと把握しておきましょう。
一般的にはマーケティングからインサイドセールス、次にフィールドセールスの流れがセオリーであり、トスアップもしくはパスワークといったイメージで適切に連携することが肝要です。
ツールを導入して情報を共有する
企業やチームの規模にもよりますが、営業プロセスにおいて割くことのできる人的リソースには限りがあるのが普通です。
そこで全てをマンパワーで実施するのではなく、営業支援ツールの適切な導入で業務の効率化を企図することも有効な手段の一つです。
ツールにはさまざまなものがありますが、以下に用途別の3例を挙げました。
MAツール
「MAツール」とはマーケティングを自動化するためのもので、「Marketing Automation(マーケティングオートメーション)」の頭文字を取った呼び方です。
MAツールを用いると見込み顧客の属性や閲覧しているWebページ、あるいはアクセスの頻度といった行動を把握することができます。これらの情報を元に見込み顧客としての確度を判別し、それぞれのターゲットに適切なアプローチをかけることも可能です。リードの興味・関心・行動の傾向を可視化することにつながり、ニーズに沿った情報を提供するなど最適なアプローチの実現に寄与します。
SFAツール
「SFAツール」とは営業担当者用の支援ツールで、「Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)」の頭文字を取った呼び方です。
SFAではリードの属性情報をはじめ、そのターゲットに対してどのような営業活動を行ってどういった反応があったのか、そして次のアクションをどう想定するのかといった営業活動全般をデータベース化します。こうしたデータを蓄積・分析することで、リードに対してどのようなアプローチや営業方が有効であるのかをわかりやすく共有することが可能となります。
CRMツール
「CRMツール」とはリードとの良好な関係を築いて継続させるためのツールで、「Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)」の頭文字を取った呼び方です。
商品やサービスを購入・利用してくれた顧客に関する購買履歴や要望・苦情、またはこちら側からのアプローチ履歴などを管理し、営業担当者の負担を軽減しつつ既存顧客のニーズを適切に把握することをサポートします。
まとめ
インサイドセールスとマーケティングの関係、そして両者の違いと連携の方法について解説しました。営業プロセスを分業し一つの目的を達成するには、それぞれの役割を明確に意識し、各セクションがスムーズに連携することが大切です。
インサイドセールス、マーケティングでは広く顧客へアプローチし、見込み顧客へつなげる部分を担い、効率的なリード獲得、アポイント獲得が求められます。
顧客へアプローチする一つの方法に紙のDM(ダイレクトメール)がありますが、受け取った相手が反応する確率が高いツールといわれています。
DM+では、顧客ごとのDMに固有のQRコードを添付し、送付後のトラッキングができる「ユニークQRコード作成サービス」を展開しています。DMを受け取った後にどういった行動を取ったか、あるいはそれをきっかけとして商品の購入やサービスの利用に至ったかをモニターすることも可能なので、効率的に獲得施策を行えます。
インサイドセールス・マーケティングにおいて活用できるツールなので、ご興味を持たれましたら、ぜひお気軽にDM+へお問い合わせください。