DMでクーポンを送ることは、リピート客の獲得や顧客満足度を向上させる上でも役立つマーケティング施策になります。クーポン施策で結果を出すためには、目的やクーポンの内容、どのターゲットに送るべきかなどを明確に決めることが不可欠です。
本記事では、クーポンに有効な特典やその特徴、そしてクーポンを送るメリットと押さえておきたいポイントを解説します。「クーポン施策を考えている」「効果を上げるにはどのようなクーポンにすべきか検討している」担当者の方はぜひ参考にしてください。
クーポンとは?
クーポンの語源はフランス語で、「切り離して使用する券」などを意味し、電車の回数券や宿泊チケット、債権の利息などをクーポンと呼んでいました。債券の利息は今でもクーポンと呼ばれていますが、現代の日本で広く浸透しているのは「割引」や「お試し価格」などの特典と引き換えられるツールとしてのクーポンでしょう。販売促進や新規顧客開拓のための施策としてクーポンはよく用いられています。
実は、クーポンが初めて販売施策に使われたのは100年以上も前のことです。コカ・コーラが無料試飲クーポンを配布したのがクーポンの始まりとも言われており、コカ・コーラはこの施策が販路開拓の一助となってアメリカ全土へマーケットを拡大させました。
現代において、クーポンと聞けば「何かお得なもの」といった認識を持つことは自然になっており、広くその役割が浸透していると言えます。ただ、そうなってくるといかに消費者の目にとまり、実際に使ってもらえるクーポンにするかが課題になってきます。
クーポンをDMで送る場合の特典内容
では、クーポンをDMで送る施策を取る場合、どのような特典内容にすればより顧客の目を引き、来店に結び付けられるのでしょうか。ここでは、DMで送るクーポンにおすすめの特典内容を紹介します。
割引サービス
クーポンの特典として用いやすいのが割引サービスです。「30%割引」「500円引き」など、”クーポンを持参した人だけが受けられる割引”という特別感も重なって、目にとまりやすく実際に利用もされやすい特典の一つです。「10,000円以上お買い上げで」や「11月25日~12月5日まで」など利用条件を設定しておけば、販売単価の向上や、売り出し期間の売り上げアップを狙うのに役立ちます。
キャッシュバック
キャッシュバックは、ブランドイメージを保ちながら販売促進を狙いたいときにおすすめの特典です。購入時に割引は行わず、後から該当する金額をキャッシュバックします。結果的には割引と変わらないかもしれませんが、「商品を安易に割引しない」と印象付けやすく、薄利多売のイメージを付けたくないときにも有効な特典です。また、ポイントなどで還元すれば次回の買い物で利用してもらえるため、リピーター獲得を狙いたいときにも有効です。
無料サービス
無料サービスは、クーポンで特定の商品やサービスを無料にする特典です。「10,000円以上購入で1個無料」「5回利用で1回サービス」など商品やサービスそのものを無料にする場合や、「カット&カラーご利用の方にヘアトリートメントサービス」のようにオプションを無料にするものなどがあります。プレゼントに近いニュアンスのある特典のため、お得感があり、新規顧客にもリピーターにも有効な特典です。
ただし、無料で商品やサービスと交換するようなクーポンは「景品表示法」で定められる規定を守った上で利用する必要があるため、クーポン発行の際はよく注意してください。
出典:e-Gov「不当景品類及び不当表示防止法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000134(2022.12.02)
お試し体験
お試し体験は新サービスや新商品が発表されるときなどに提供したい特典です。サブスクリプションサービスの1カ月間無料や、定期購入の初回特典、ヘアサロンやエステなどの初回限定サービスなどがこれに当たります。こちらもお得感があり、利用価値のあるクーポンのため目にとまりやすく、実際に利用してくれる可能性の高いクーポンになります。
ノベルティグッズの提供
ノベルティグッズの提供は、顧客ロイアリティの向上を狙う施策として有効な特典です。例えば「年度末セールに来店した会員にクーポンと引き換えで感謝品を渡す」といった施策などが該当します。購入状況に応じて会員ランクを決めておけば、ランクごとに特典内容を変えることもできます。次年度の販売促進も狙えるため、長期的な顧客育成につながる可能性もある方法と言えるでしょう。
また、「先着1,000名様限り」「期間中10,000円以上お買い上げで」などの条件を付けてクーポンを送付すれば、セール期間中の販売促進を狙えます。
イベントへの招待
クーポン持参の方限定で割引になるセールや、展示会、試飲会・試食会、などのイベントへ招待するためのクーポンも既存顧客のロイアリティ向上に役立ちます。クーポンを持っていなければ参加できない・割引にならない特別感が、顧客の固定化を図り、場合によってはクーポンが届くのを待ち望んでくれるようになることも期待できます。
販売促進のために新しい施策を常に打ち出していくことは大切ですが、「この時期になるとイベント招待のクーポンが届く」と固定化できれば、定期的に新商品のアピールや売り上げ獲得も狙えるでしょう。
DMでクーポンを配布するメリット
ここからはDMでクーポンを配布すると、以下のようなメリットを享受できる可能性があります。DMクーポンが有効である点を詳しく解説します。
集客できる
DMは開封率が高く、集客につながる可能性の高いマーケティング手法です。関東エリアを対象に行われた一般社団法人日本ダイレクトメール協会の調査によると、利用したことがある企業・団体からのDM開封率は93%と高く、利用経験がない企業・団体からのDM開封率でも76.3%となっています。
また、その後「購入・利用した」「資料請求した」「ネットで調べた」など何らかのアクションを起こした人は21%でした。1,000通のDMを発送した場合210名もの方が何らかのアクションを起こすと考えれば、DMでクーポンを送ることは集客に結び付く有効な施策だと言えるでしょう。
出典:一般社団法人日本ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2021」調査報告書要約版
https://www.jdma.or.jp/upload/research/20-2022-000021.pdf(2022.12.02)
認知させることができる
メールやサイト上のクーポンは、次のメールや情報に埋もれて忘れてしまったり、見逃してしまったりすることも考えられますが、DMで届けられる実物のクーポンは認知されやすく、印象に残りやすい特徴があります。
また、紙のクーポンなら、わかりやすい場所に保管したり、財布の中に入れておいたりする人も少なくないでしょう。目にするたびに思い出してもらえれば来店の可能性も高まります。
店やサービスのイメージを想像してもらいやすい
DMの場合クーポンだけでなく、広告なども同封できるメリットがあります。写真付きの広告を同封したり、おすすめ商品やサービスの特徴、実際に利用している写真やベネフィットをあわせて記載したりすれば、さらに購買意欲をかき立てることができるでしょう。ヘアサロンやエステなら、施術中の優雅なイメージの写真があるだけでも「クーポンを使って特別な時間を楽しもうかな」と思ってもらえる可能性が高まります。
DMで効果の高いクーポンを送る4つのポイント
DMでクーポンを送り、実際に効果を上げるためには以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
1.目的とターゲットを明確にする
「DMでクーポンを送る」という施策を行う以上は、目標や結果を見据え、それを達成するための準備が欠かせません。
そのためにはまず、クーポン施策を実施する目的を明確にしましょう。
【クーポン施策を実施する目的の例】
・新規顧客獲得 ・リピーター獲得 ・顧客育成 ・客単価の向上 ・セール期間中の売り上げ獲得 ・オプションサービスの認知 ・新商品の訴求 |
目的を明確にしたら、次はその目標のために「誰に」クーポンを送るべきかターゲットを定めます。
「潜在顧客」「見込み客」「新規顧客」「既存顧客」「優良顧客」「休眠顧客」など、さまざまな顧客のうち、どのステージの顧客に対して訴求していくかも明確にしましょう。
DMでクーポンを送り、その効果を上げるためには、こうした目的とターゲットを明確にする作業がとても重要になります。
2.顧客にクーポンの理由を伝える
クーポンを発行する企業や店舗が多くなったことで、いわゆる「クーポンハンター」のような客も少なからず現れるようになりました。もちろんそうした中から将来の優良顧客が現れる可能性も否定できませんが、場合によっては自社ブランドや商品のイメージを損なうことにもつながりかねません。自社ブランドや商品のイメージを守るためにも「なぜクーポンを送るのか」を明確に伝えることも忘れないようにしましょう。
「新商品の周知」「お客様への感謝セール」「一年間ご愛顧いただいた感謝を込めて」など、クーポンを送った理由を明確に伝えましょう。闇雲に薄利多売をしているわけではないことが伝わり、顧客に自分に送ってくれた特別感をもってクーポンを利用してもらいやすくなります。
またトラブルを防ぎ、顧客に気持ちよく利用してもらうために、使用期限や他のクーポンとの併用の可否、利用条件、返品の場合はどうするのかなど、注意事項についても明確に記載しておくようにしましょう。
3.近くに置いておきたいと思える工夫をする
DMでクーポンを送るメリットには「形やデザインを自由にできる」点もあります。定番のチケット型も良いですが、クーポン自体を手元に置いておきやすい形にして送るのも有効です。
例えば、カレンダーなどに切り取れるクーポンを設置する方法があります。カレンダーなら利用してもらえる可能性が高い上、毎日のように見てもらえることからクーポンの存在を忘れにくいでしょう。一年を通して使ってもらえれば、企業や店舗そのものの訴求にもなるため広告効果が合わせて期待できます。
4.複数のクーポンを同時に見せる
一つのクーポンで特別感を持たせて利用を促進する方法もありますが、たくさんのクーポンを見せることで「どれにしようか」という人間の心理を突いた訴求を狙う方法もあります。
人は一つのクーポンを見ると「使うか使わないか」という思考になりますが、たくさんあると使うことを前提に「どれにしよう」と考える思考になると言われています。
「Aは1,000円引き」「Bは1,200円引き」「5,000円以上で10%OFF」など、数多の商品やサービスを掲載したクーポンや冊子型のクーポンなどが有効です。
まとめ
DMでクーポンを送る方法は、実物が手元に届くことで顧客の印象に残りやすく、実際に利用してもらえる可能性を高めます。新製品を訴求したい、売り上げを伸ばしたい、優良顧客へ還元を行いたいなど目的を定めて有効なクーポンを作成し、目標達成を目指しましょう。
実際にDMを開封してもらえたかは、顧客の行動を可視化し測定することもできます。「DM+」ではDMに宛名別のQRコードを設置しており、それぞれの顧客がどのような行動を取ったかを可視化して効果検証を行えるサービスを展開しています。DMを送るだけでなく、その後の顧客の反応を把握し、検証や今後の施策に活かしたいと考えているなら、ぜひ利用を検討してみてください。