経年DMとは? 効果的な見込み客にアプローチする方法を解説します

製品や設備の使用年数が経過した顧客に、どのタイミングでどのようなアプローチをすべきか悩む企業は少なくありません。特にガス給湯器や住宅設備などの長期間使われる商材を扱う事業所では、点検や買い替えの案内をどう伝えるかが課題です。タイミングを逃せば、提案の機会損失だけではなく、顧客との関係が徐々に薄れてしまう可能性があります。

人手不足が進む中、従来の訪問中心のスタイルだけでフォローし続けるのも現実的ではありません。そこで注目されているのが、製品の使用年数に合わせて案内を行う「経年DM」と呼ばれる手法です。

本記事では、ガス・電気などのインフラ設備を扱う事業所の方に向けて、経年DMの概要やメリット、注目されている背景を詳しく解説します。
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【この記事で分かること】

  • 経年DMとは、製品や設備の使用年数に合わせて案内するダイレクトメールのこと
  • QRコードとアクセスデータを活用し、顧客の関心度に応じてアプローチをかけられる点がメリット
  • 紙DMとデジタルの仕組みを組み合わせることで、顧客との長期的な信頼関係を築きやすくなる

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です

経年DMとは?

経年DMとは、製品やサービスの使用期間を基準に、買い替えやメンテナンスを提案するダイレクトメール手法です。製品・サービスの購入日から一定期間が経過した顧客に対し、経年によって生じやすい不具合などをDMで案内し、最新モデルやサービスへの切り替えを促すものです。

経年DMでは一般的に、最初に「あなたのご使用年数は約〇年」といった経年情報を明記し、Web連動型のキャンペーン特設サイトに移動させる仕組みを取ることが多いです。

例えば、自社のガス機器を導入してから10年経過した顧客に対し、以下のようなメッセージを記載します。

日頃より〇〇ガスをご利用いただき、誠にありがとうございます。 お使いのガス給湯器は、ご購入から約10年が経過している状況です。給湯設備は長年の使用に伴い、部品の劣化による故障が起こりやすくなる傾向があります。 〇〇ガスでは、最新モデルへの買い替えをご検討いただく方に向けたご優待キャンペーンを実施中です。ぜひご検討のほど、よろしくお願いいたします。

経年DMは、顧客維持と再購入の促進の両面で役立つ広告手法の一つです。

そもそもDMの役割とは

DMとは「ダイレクトメッセージ」の略称で、企業が顧客に情報を届けるための手段です。主な役割は、大きく分けて以下の3つです。

  • 顧客データを活用し、必要な情報を確実に届ける
  • 顧客の明確な行動喚起につなげる
  • オフラインからオンラインへ誘導し、申し込みまでの流れを構築する

購入履歴や利用年数などを基に、個別性の高い情報を送付することで、顧客に自分の生活に関する内容だと感じてもらえます。結果として、顧客との関係性を維持しながら、新製品の紹介や買い替えの案内へ自然とつなげられます。

またDMは開封率が高く、顧客の明確な行動喚起につながりやすい媒体です。DMメディア実態調査2023によると、個人宛のDMの開封率は主に7~9割と高く、行動喚起率も20%弱 です。DMを受け取った後、2割近くの人がその商品やサービスをインターネットで調べたり、実際に店舗を訪れたりと何らかの行動を起こしています(※)。

広告市場全体で見ても存在感は大きく、2023年の国内広告費7兆3,167億円のうち、3,073億円をDMが占めています (※)。DMは、テレビやインターネットに次ぐ広告メディアの一つといえるでしょう。

またDMにQRコードを付けておき専用URLを設ければ、紙面で興味を引きつつ、詳しい情報や申し込みフォームがあるWebサイトへスムーズに案内できます。DMは必要な情報を確実に届け、顧客を申し込みページまで誘導しやすい手段として多くの企業で活用されています。

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※参考:一般社団法人日本ダイレクトメール協会.「DMメディアの現状」.”DM広告の現状””「高リーチ」:自分宛のDMは7割~8割が読まれている””本人宛DMの「行動喚起率」は受取に対して20%弱”.https://www.soumu.go.jp/main_content/000969006.pdf ,(2024-09-25).

経年DMが注目されている理由

インターネット広告やSNS広告が主流になりつつある中で、なぜ経年DMが注目されているのでしょうか。その背景には、ガス業界の営業手法の転換や、信頼性の高い保安体制を維持するための考え方の変化があります。

オンライン施策が主流になった現在でも、長年利用されている設備やサービスを扱う事業者にとって、顧客との継続的な関係構築は欠かせません。ガス事業も例外ではなく、慢性的な人手不足が問題視されている中で、適切なタイミングで顧客に点検や交換を促す体制を整える必要があります。

経年DMは、このような状況に対応しつつ、関係性を損なわない形で商品・サービスを案内できる手法として注目されています。以下で、経年DMの必要性を高めているガス業界特有の課題を見ていきましょう。

ガス業界が抱えている課題

経年DMが注目されている背景には、ガス業界の人手不足と営業機会の減少があります。

例えば、高経年設備を有する事業所は、稼働年数の浅い設備(低経年設備)を扱う事業所に比べて、事故発生率が約2倍になるデータが報告されています(※1)。設備の老朽化が進むほど丁寧な保安対応が欠かせませんが、現場ではベテラン人材の退職や採用難によって、十分な点検体制の維持が難しい状況です。

2030年には人材不足がピークに達する と予測されていることから、業界全体で持続的な保安体制の構築が大きな課題となっています(※1)。

この課題に対応する方針として、国はスマート保安の推進を進めています。スマート保安とは、デジタル技術やIoTを活用し、保安業務の効率化と安全性の向上を図る取り組みです(※2)。スマート保安は保安体制の強化に必要な施策ですが、ガス販売会社にとっては訪問営業の機会減少につながる可能性があります。訪問機会が減少すると、顧客との関係性が薄くなり、設備更新やサービス提案のタイミングを逃すかもしれません。

しかしながら昨今では過剰な訪問営業は不信感を抱かれる場合も少なくありません。人手の不足も相まって、従来の営業手法を継続していくには限界を感じる場面が多くなりました。

そのような中で経年DMは、スマート保安の流れに適応しながら顧客接点を維持できる点が評価されています。紙のDMで顧客に注意喚起と新商品・サービスの訴求を行い、Webページに誘導すれば、自然な流れかつ効率的に設備更新や点検につなげられます。

※1参考:経済産業省.「スマート保安の推進」.”【参考】高経年化と事故件数の増加””重要インフラ事業者が抱える課題(検査負担の増大と労働力不足)”https://www.fdma.go.jp/relocation/neuter/topics/fieldList4_16/pdf/r01/02/shiryou5-2.pdf ,(参照2025-11-01).

※2参考:スマート保安官民協議会 ガス安全部会.「ガス分野におけるスマート保安のアクションプラン」.”スマート保安とは”https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/smart_industrial_safety/action_plan_gas.pdf ,(2021-03-31).

経年DMが課題解決につながる理由

前述の通り経年DMは、ガス業界が抱える保安体制の維持、人手不足、顧客接点の減少といった課題を解決する手段として注目されています。

経年DMが業界独自の課題解決に役立つ理由は、主に以下の3つです。

  • 顧客の行動を可視化し、適切なタイミングでフォローできる
  • 顧客リストの精度を高め、効率的なターゲティングを実現する
  • 見込み確度の高い顧客が明確になり、営業効率を高められる

顧客の行動を可視化し、適切なタイミングでフォローできる

まず代表的な理由として挙げられるのが、顧客の行動を可視化できる点です。従来の紙のDMは、送付後にどれだけ関心を持たれたのかを把握しにくい課題を抱えていました。見込み客に効果的にアプローチできず、効率的な営業活動ができない点は、顧客と長期的な信頼関係を築く必要があるガス業界では深刻な問題です。

一方、経年DMの送付状況とサイトへのアクセス状況をシステムで管理すれば、どの顧客がQRコードから詳細ページにアクセスしたのかを確認できます。

ガス機器は使用年数が進むほど故障リスクが高まるため、適切なタイミングで点検や買い替え案内を行うことが重要です。アクセス状況をリアルタイムで把握することで、顧客の行動を可視化でき、効果測定が効率的にできるようになります。結果として過剰な訪問営業を控えられ、自然な形で情報を届けられる点もメリットです。

顧客リストの精度を高め、効率的なターゲティングを実現する

業界問題の解決につながるもう一つの理由に、顧客リストの精度向上が挙げられます。年単位の長期契約が一般的なガス分野では、顧客情報が更新されずに古いまま残っているケースも珍しくありません。紙のDMが戻ってきて初めて、転居していた、居住者が変わっていたと気付くこともあるでしょう。

経年DMをシステム化すれば、送付状況やQRコードのアクセス情報を基にデータの整理を進められます。転居・契約者変更などの情報を早期に把握できれば、無駄な連絡や訪問が減り、営業リソースを購買意欲の高い顧客に当てられる環境が整います。

また顧客別QRコードが記載された経年DMなら、リストクリーニングを効率的に進められるため、最新情報に沿った営業活動が可能です。リストクリーニングとは、顧客データの正確性を保つために、古い情報や重複データを整理・更新する作業です。効果的な営業活動を行うために欠かせない作業であり、DMだけではなくテレアポの効率化などでも実施されます。

見込み確度の高い顧客が明確になり、営業効率を高められる

さらに、反応の高い顧客へ優先的にアプローチできる点も、経年DMが業界の課題解決に役立つ理由の一つです。具体的には、QRコードのアクセスログで顧客の商品に対するニーズを推測できるため、確度の高い顧客を優先的にフォローできる体制が整います。

送付後の反応まで可視化できることで、営業担当者が無駄なアプローチに時間を割かずに済みます。顧客の関心度が把握できれば、点検の説明や商品の説明など、資料の準備が必要な業務でもアプローチの仕方を検討しやすくなるでしょう。加えて、新人担当者にとって心強い営業ツールになるため、現場の営業力の底上げにも役立ちます。

このように、経年DMは営業活動の効率化だけではなく、保安対応の質向上や部下育成の場でも効果を発揮します。顧客との関係を長く維持しつつ、限られた人員でも成果を出しやすい環境を構築できる点が大きなメリットです。

「過剰訪問をせずにアプローチを仕掛けたい」「人手不足が続く中で顧客との信頼関係を長期的に築きたい」と考えている事業所にとって、経年DMは有効な手段です。

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経年DMの3つの特徴

経年DMは、単に利用年数に合わせてDMを送るだけではありません。データを活用しながら顧客の動きを把握し、その情報を基に適切なタイミングでアプローチできる点がポイントです。

ここでは、経年DMの特徴を3つの視点から深掘りして解説します。

  • 顧客行動を「可視化」する
  • データに基づく「効果検証」
  • 効率的な「営業アプローチ」の実現

上記3つの特徴を理解することで、運用のイメージがより具体的になります。導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみましょう。

1. 顧客行動を「可視化」する

経年DMでは顧客ごとに異なるQRコードを発行しています。DMを開封した顧客がQRコードを読み取ると、専用ページにアクセスでき、そのページの中でどのような情報に目を止めたのかなど、顧客の行動情報が記録される仕組みです。

管理サイトでは「誰が」「いつ」「どのページを閲覧したのか」を確認できるため、効率的な営業活動に役立ちます。例えば、ガス機器の点検ページや商品説明ページを見た人を一覧で把握でき、よりターゲットにあった情報をおすすめできるようになります。

またページ遷移履歴や閲覧回数などの詳細データも追跡でき、優先してアプローチすべき顧客を明確にすることが可能です。

従来のDMでは顧客の反応を知りたい場合、訪問や電話などで確認する必要がありました。案件一覧では、アクセス履歴を案件ごとに管理できるため、どの顧客が情報を確認しているのかをひと目で把握できます。この仕組みにより、従来の紙で送付するだけのDMでは分からなかった顧客の反応や動きを可視化できます。

2. データに基づく「効果検証」

経年DMは送って終わりではなく、その後の顧客の反応を整理しながら施策の改善ができる媒体です。従来のDMは、配布した件数までは把握できても、どれだけ興味を持たれたのかを判断しにくい傾向がありました。効果検証が十分にできなければ、報告資料の作成に手間と時間がかかる上に、次回以降の施策に改善点を加えることが難しくなります。

一方でシステム化された経年DMでは、顧客行動のデータからレポートを自動で作成できる機能が備わっているシステムもあります。社内での共有や振り返りがしやすくなり、次の施策をより良いものにすることができるはずです。作業の効率化により、DM送付から効果検証までのスピードが速くなることで、担当者の業務負担軽減にもつながるでしょう。

このように、経年DMは開封率を高められるだけではなく、正確なデータを活用した効果検証が可能な媒体です。PDCAサイクルを回しやすくなり、改善の方向性がつかみやすくなります。

3. 効率的な「営業アプローチ」の実現

経年DMはその後の営業アプローチを効率的に進められる点も大きな特徴です。

単に送付するだけのDMは、顧客の行動や潜在的なニーズを把握しにくく、営業活動をスムーズに進められない傾向があります。タイミングが合わないまま連絡すると「まだ検討していない」といったすれ違いが起こりやすく、結果的に顧客と距離が開く可能性があります。

一方で、QRアクセス通知を取り入れた経年DMなら、顧客が商品・サービスに対する関心が高まっているタイミングでアプローチをすることが可能です。

例えば、給湯器の使用年数が10年を超え、顧客が交換を検討し始めたとします。その時期にDMを受け取り、QRコードから詳細ページを閲覧したことが通知で分かれば、担当者はすぐに「よろしければ点検に伺いましょうか」と自然に提案できます。

結果として、押し売り感のない営業アプローチが実現し、顧客も「ちょうどその話しを聞きたかった」と前向きな姿勢を示してくれる可能性があるのです。

また通知メールの内容を自社向けに調整できる仕組みがあれば、メール上で顧客の連絡先をすぐに確認し、そのまま架電できる流れを作れます。営業担当者が、アクセス日時や顧客名、案件名などの必要な情報にすぐアクセスできれば、スムーズに次のアプローチへ移れる点もメリットです。

このように経年DMは単なる案内ツールではなく、営業活動のスピードと質を高める役割を果たします。

経年DMを導入するなら「DM+PLUS」がおすすめ!

経年DMの運用をスムーズに進めたい企業様は、株式会社サイバーネットが提供する「DM+PLUS」の導入をご検討ください。

DM+PLUSとは、顧客別のQRコードを活用し、送付から効果測定までの一連の流れを効率化するための営業支援システムサービスです。

ガス・電気などのインフラ業界では、長期的に利用される設備を数多く扱っており、顧客に更新や点検の案内を適切なタイミングで通知する必要があります。訪問営業の機会が減りつつある現在、紙DMだけではフォローのタイミングがつかみにくい傾向があります。効果的な営業アプローチを行うには、顧客動向をきちんと把握する仕組みを取り入れることが大切です。

DM+PLUSなら、従来の紙媒体のアプローチでは把握しにくかった成果を数値として確認できます。「誰が」「いつ」「何に関心を示したのか」といった行動データを蓄積できるため、顧客の潜在的なニーズを踏まえたフォローが可能です。

顧客別のQRコードの発行はもちろん、データをCSV形式で出力できるため、分析や施策の見直しにも役立ちます。LPとの連動も可能で、顧客の関心がある情報を踏まえた追客がしやすくなるのもポイントです。

顧客がQRコードにアクセスした際に、担当者に通知メールが送信される機能も搭載しています。通知本文は自社環境に応じて変更できるため、企業様の営業活動の効率化に貢献するでしょう。

DM+PLUSでは、利用期間や予算に合わせて選べる料金プランをご用意しています。

※LP制作費用/ユニークQRコードの発行ごとに費用が都度かかります

1年プランは、経年DMを継続的に運用し、定着を図りたい企業様向けのプランです。長期的に運用したい場合は半年プラン、単発で試したい企業さまには、1案件(2カ月)から導入可能なスポットプランがおすすめです。

【運営会社について】

DM+PLUSは、Web to Print分野で豊富な実績を持つ株式会社サイバーネットが開発・運用しています。名刺管理システムや印刷サービスなど、法人向けのWebサービスの提供で培ったノウハウを生かし、紙媒体とWebを組み合わせた営業支援の仕組みを実現しています。

DM+PLUSの機能や活用方法について詳しく知りたい企業様は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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経年DMは従来の営業手法の課題を解決する手段の一つ

経年DMは、ガス機器や住宅設備などの営業活動におすすめのダイレクトメール手法です。設備やライフラインの使用年数・契約期間に応じて、適切なタイミングで情報を届られるのが大きな特徴です。システム化されたデータを活用すれば、顧客の反応を追跡しながら、自然な流れで点検・買い替えの提案につなげられます。

また訪問や電話だけに頼るスタイルでは見えにくかった、顧客の関心度を把握できるため、過度な営業活動をせず、企業と顧客の関係性を重視して再構築するアプローチが可能です。

人手不足が深刻化するインフラ業界で、自社の商品・サービスを長年利用している顧客との関係を安定的に築き続けることは、これまで以上に重要になっています。経年DMを運用し、アクセス履歴をデータとして管理すれば、顧客の潜在的なニーズを把握しやすくなります。訪問や電話に頼り切らず、必要なときに適切な情報を届けられるため、顧客満足度の向上と営業活動の効率化が期待できるでしょう。

経年DMを活用しながら営業DXを進めたい企業様は、DM+PLUSの導入をご検討ください。企業様の営業体制や顧客層に合わせて、適切な運用方法や活用イメージをご案内します。ぜひお気軽にお問い合せください。

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