スタートアップ企業が直面しやすい課題の一つに、効果的なマーケティング戦略の立案が挙げられます。どのようなマーケティング戦略を練れば新規顧客の獲得につながるのか分からず、悩む方も少なくありません。
一般的にマーケティング戦略は、参入する市場や自社製品・サービスの分析などさまざまな情報分析のステップを経て立案されています。では、スタートアップ企業のビジネスを軌道に乗せるためにはどのようなポイントに気をつけてマーケティング戦略を練れば良いのでしょうか。
本記事では、スタートアップ企業を立ち上げている経営者の方に向けて、スタートアップ企業にマーケティング戦略が必要な理由とその戦略立案の流れ、マーケティングにかける予算や注意点を詳しく説明します。本記事を読んでスタートアップ企業のマーケティング戦略について詳しくなりましょう。
スタートアップ企業にマーケティング戦略が必要な理由は?
スタートアップ企業にマーケティング戦略が必要なのはなぜでしょうか。
スタートアップ企業とは、一般的に新しいビジネスモデルを持つ革新的な企業のことを指し、新たな市場の開拓を行ったり短期的に事業価値を高めて成長したりする特徴があるとされています。
スタートアップ企業が継続的に売り上げを作りながら新規顧客の獲得をしたり顧客を維持したりするのは、厳しいビジネス界で生き残るためにも重要です。そこで、マーケティングの手法を通して自社が業界内でどの立ち位置にいるかを分析したり、業界全体の動向をつかんだりしながら戦略を練っていきます。
スタートアップ企業が持つ独自性を強みに変えていくには効果的なマーケティング戦略を練り、実践していく姿勢が不可欠でしょう。
マーケティング戦略立案の流れ
マーケティング戦略の立案は具体的にどのような流れに沿って行えば良いのでしょうか。ここでは、スタートアップ企業のマーケティング戦略立案のために必要なステップを5つ紹介します。
1.市場を分析する
マーケティング戦略の立案の1ステップ目は、市場分析です。
まずは、これからスタートアップ企業が参入する市場を分析していきます。市場分析では、大きな視点から見る「マクロ」と狭い視点から見る「ミクロ」や、自社を客観的な視点から分析する方法などがあります。
主な分析方法には以下の3つがありますが、マクロな視点から順番に分析すると効果的なのでPEST分析→3C分析→SWOT分析の順に行いましょう。
- PEST(ペスト)分析
PEST分析は、マクロな視点から自社が置かれている環境を把握してマーケティングに活かすための分析です。Politics(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、 Technology(技術的要因)の4つの要因の変化により自社がどのような影響を受けるかを分析するので、頭文字を取って「PEST分析」と呼ばれています。
- 3C分析
3C分析では、ミクロな視点から、自社が置かれている環境を把握してマーケティングに活かすための分析です。Customer(市場や顧客)、Competitor(競合相手)、Company(自社)の3つの視点から分析するので、頭文字を取って「3C分析」と呼ばれています。
- SWOT(スウォット)分析
SWOT分析では4つの視点から企業や取り扱っている商品、サービスを評価・分析して全体的な戦略の方向性を決めるために行う分析です。Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取って「SWOT分析」になります。
2.ポジショニングマップを作成する
市場が分析できたらポジショニングマップを作成し、業界内での自社の立ち位置を明確にしていくのが2つ目のステップです。ポジショニングマップの具体的な作成方法は以下の通りです。
- 顧客にとって重要度が高いものを縦軸と横軸に定める(例:縦軸は価格の高低で横軸は実用性とデザイン性)
- 競合他社と自社の商品がどの位置にあるのかを考えてマップに記載する
- マップ上でどこにも重ならない位置を見つけてそこを目指す
ポジショニングマップ上で自社商品が競合他社の商品の位置と重なっていれば、類似商品がすでに世の中に存在しているため、独自性をアピールしていくのは難しいと判断できます。
しかし、マップ上のどこにも重ならない位置はまだ未開拓なポジションです。この位置を積極的に狙ってマーケティング戦略に役立てると、業界内で新しい分野を開拓できる可能性が高く、新規顧客を獲得しやすくなるでしょう。
3.狙いたいターゲットを決定する
マーケティング戦略立案の3つ目のステップは、ターゲットの決定です。
ポジショニングマップを元に狙いたいポジションが明確になったら、職業・年齢・性別などの属性を定めてスタートアップ企業の「ターゲット」を決定します。この際、より詳細な人物像が必要であれば「ペルソナ」と呼ばれる架空のユーザー像を設定するのもおすすめです。
ターゲットだと「30代女性」などざっくりとした属性を意味するケースが多いですが、ペルソナだと趣味やライフスタイルの詳細、テレビやインターネットを見る時間帯まで細かく情報を設定することが可能です。
明確なペルソナが像あると新規顧客像がはっきりするため、具体的なマーケティング戦略のアプローチ方法が見えやすくなるメリットがあります。具体的なペルソナの例は以下の通りです。
- 名前:田中けいこ
- 年齢:20歳
- 血液型:B型
- 居住地:福岡県
- 趣味:料理、読書、アニメ鑑賞
- 性格:インドア派でおっとりとしている
- 休日の過ごし方:昼間に家でゆっくり動画を見たり友人とカフェ巡りをしたりする
- よく使うSNS:Instagram、X、LINE
4.具体的な施策を決定・実行する
マーケティング戦略立案の4つ目のステップは具体的な施策の決定・実行です。
これまで、市場分析やポジショニングマップの作成、ターゲットの決定を行いスタートアップ企業が目指すべき事業の全体像が見えてきたでしょう。このステップでは、新規顧客に自社商品やサービスを購入してもらうための具体的な施策を決めていきます。施策の例には以下のような案が挙げられます。
- 自社ホームページの制作
- SEO対策
- Webマーケティング
- SNS運用
- インフルエンサー活用
- 広告
- オウンドメディア
どのような商品やサービスでも、顧客に認知されて売れる仕組みがなくては意味がありません。状況に応じて、マーケティング戦略に特化した専門家を雇うのも良いでしょう。
5.施策の結果を測定し改善する
マーケティング戦略立案の5つ目のステップは、施策の結果測定と改善を行うことです。
具体的な施策を実行したら終わりではありません。実際の結果から良かった点や改善できる点を洗い出し、改善策を考えて次の具体的な施策へとつなげていくことが大切です。
最初の施策の結果にかかわらず、PDCA(計画、実践、分析、改善)のサイクルに基づいてマーケティング戦略の改善点の要因を分析しましょう。特に起業してすぐの時期は、PDCAサイクルを速いペースで回して結果を測定し、成長につなげていくと良いでしょう。
スタートアップ企業がマーケティングにかけるべき予算
スタートアップ企業がマーケティングにかけるべき予算は一般的にどれくらいなのでしょうか。
マーケティングの予算に決まった額はありませんが、一般的なスタートアップ企業であれば初期の予算を予測収益(総収益)の12〜20パーセントに設定するのが目安です。
徐々に売り上げが伸びれば6〜12パーセントに予算を下げても良いですが、初期はマーケティングを正しく迅速に行うためにも予算をかけて行うことをおすすめします。
また、マーケティングにかける予算を決める際、上場企業の決算を参考にする方法もあります。業界や業種によって予算が異なりますが、売り上げに対する広告宣伝費の比率の例は以下の通りです。(※)
- 不動産:4パーセント
- 外食・関連サービス:5パーセント
- 化粧品・健康食品会社:10パーセント
- 不動産:4パーセント
- 教育:3パーセント
- 通販・サービス業:15〜20パーセント
- 化粧品業:15〜20パーセント
- 流通業:1〜3パーセント
- 自動車業界:1〜2パーセント
- 飲料業界:5パーセント
- 金融業界:1〜5パーセント
※参考:地域新聞社 販促の大学.「業種別・業界別広告宣伝費(販促費)の売上比率・割合の平均は?最適な広告予算を立てよう」.“売上に対する広告宣伝費(販売促進費)の比率・割合”.https://hansokunodaigaku.com/koukoku_post/1414/ ,(参照2024-05-06).
スタートアップ企業のマーケティングにおける注意点
スタートアップ企業がマーケティングを行う際、どのような注意点に留意すれば良いのでしょうか。
まず、予算を賢く使いマーケティング戦略を練るようにしましょう。スタートアップ企業の予算には限りがあります。限られた予算内で新規顧客の獲得を目指すために、知人の紹介を受けたり中小企業の支援団体から顧客を紹介してもらったりするのも良い方法です。
また、投資収益率を把握して、マーケティング戦略が自社にどれくらいの利益をもたらしているか理解するのも大切です。自社の予算を使い果たさない限り、複数のマーケティング戦略を実行するなど積極的なアプローチをかけることもおすすめします。
さらに、より効果的なマーケティング戦略の立案のためには新しい情報を取り入れ続ける姿勢を持つことも心がけましょう。マーケティング戦略で成功している他の企業の事例を調べたり、セミナーに参加して情報収集を行ったりするのも良いでしょう。自社とは異なる業界の成功事例なども参考にしながら、幅広く新鮮な情報をマーケティング戦略に活かすことが大切です。
まとめ
本記事では、スタートアップ企業を立ち上げた経営者の方に向けて、スタートアップ企業にマーケティング戦略が必要な理由とその戦略立案の流れ、マーケティングにかける予算や注意点などを説明しました。
効果的なマーケティング戦略の立案は、スタートアップ企業の利益を上げて商品やサービスの認知を広めるためにも不可欠です。効果的かつ実現可能なマーケティング戦略を立案するには、当社のDM+もぜひご活用ください。
DM+は、新規の顧客獲得や既存顧客を維持するのに役立つツールです。マーケティング戦略で顧客にダイレクトメールを送付する際、顧客一人ひとりに異なるQRコードが添付されるためメール送付後のユーザー行動を可視化できます。また、さまざまな顧客にQRコードが送付されることで、幅広い顧客データの収集にも役立ちます。
スタートアップ企業の新規顧客の獲得や既存顧客の維持に課題があり、ダイレクトメールの施策に興味がある方は、ぜひ当社までご相談ください。