スタートアップの生存率は低い? 倒産する原因や生き残るために重要なポイントを解説

DMのお役立ちコラム

働き方が多様化する中で、自分で起業しようと考える方も多いはずです。しかし、全ての企業が順調に事業を展開し続けられるとは限らず、数年で廃業する場合があります。起業する際は生き残るポイントを押さえておくと、生存率を高めやすくなるでしょう。

そこで本記事では、スタートアップ企業の生存率を紹介します。廃業する理由や生き残るためのポイントも紹介しているので、併せて参考にしてください。

スタートアップ企業の生存率は?

企業の生存率とは、事業を継続している会社の割合です。起業した全ての企業が存続するのは難しく、一定数の企業は数年で廃業しているのが現状です。

まずは、スタートアップ企業の生存率を、以下の2つに分けて見ていきましょう。

  • 企業から1年後
  • 企業から3~5年後

起業から1年後

株式会社帝国データバンクの発表によると、起業から1年後の生存率は94.0%です。フランスの82.4%、ドイツの76.1%といった数値と比較すると、日本は比較的生存率が高いことが分かります。とはいえ、起業1年以内に6%の企業が廃業に追い込まれていることから、事業継続の難しさを実感できるでしょう。

※参考:株式会社帝国データバンク.「令和4年度中小企業実態調査委託費 中小企業の新たな担い手の創出及び成長に向けたマネジメントと企業行動に関する調査研究報告書」https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2022FY/000328.pdf, (2024-06-29).

起業から3~5年後

起業から3年目の生存率は86.6%、5年後は80.7%です。諸外国の生存率と比較すると緩やかに減少していることが分かり、日本のスタートアップ企業は生き残りやすいと判断できます。また、企業設立から年月が経過するほど生存率の低下が緩やかになっていることから、経営期間が長くなるほど安定したビジネスを展開しやすいといえるでしょう。

しかし、起業から5年で約20%の企業が廃業しているのが現実です。廃業のリスクを把握していないと、長期的な事業継続は難しいと判断できます。

※参考:株式会社帝国データバンク.「令和4年度中小企業実態調査委託費 中小企業の新たな担い手の創出及び成長に向けたマネジメントと企業行動に関する調査研究報告書」https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2022FY/000328.pdf, (2024-06-29).

起業しても生存できないのはなぜ?

日本のスタートアップ企業は諸外国よりも生存率が高いとはいえ、一定数の企業が廃業しています。つまり、生き残れない企業には何らかの理由があるといえるでしょう。考えられる理由は主に以下の6つです。

  1. 資金が足りなくなる
  2. 財務関連の知識が不足している
  3. リスクヘッジができていない
  4. 事業拡大のタイミングを見誤る
  5. 出資者が見つからない
  6. 営業力がない

それぞれについて解説します。

資金が足りなくなる

1つ目は、資金不足です。ビジネスは業種を問わず、税金をはじめとする支出が発生します。起業直後は売上が少ないことや事業資金に余裕がないこともあり、収入以上の支出が発生しやすいです。従業員を雇っている場合は、毎月の給与も支払わなければいけません。

また、起業直後はビジネスが軌道に乗っておらず、売上の予測が難しいこともあるでしょう。今月の売上が伸びたとしても、半年後も同じ成果を生み出しているとは断言できません。売上が安定していないと資金を貯めるのは難しく、毎月の支払いで精一杯になる可能性もあります。その結果、計画通りに資金を用意できず、廃業に追い込まれる企業が一定数存在します。

財務関連の知識が不足している

2つ目は、財務関連の知識不足です。そもそも財務とは帳簿などを元に予算や資金を管理したり、財務戦略の立案を行ったりすることです。企業を長く継続していくためには、現在発生しているお金の流れを把握するだけではなく、将来的に必要となるお金の管理も平行して行わなければいけません。

例えば、将来的に従業員を増やして新規事業を導入したいと考えている場合、増えた従業員分の給与も払う必要がある他、新規事業を開始するために必要な先行投資も行わなければいけません。つまり、財務関連の知識がなければビジネスに必要な資金を用意できずに、廃業するしか道がなくなるでしょう。

なお、財務関連の知識を持った従業員を雇うのも一つの方法です。しかし、従業員に全て任せていると迅速な判断が行えずに、ビジネスチャンスを逃す可能性もあります。長く生き残れる企業になるためには、経営者自らが財務関連の知識を身に付け、必要に応じた判断をスピーディーに行うことが大切です。

リスクヘッジができていない

3つ目は、リスクヘッジができていないことです。企業におけるリスクヘッジとは、ビジネスを行う上で危険となるトラブルを予測して、それを回避したり被害を最小限に抑えたりする対策です。あらかじめ起こり得るリスクに対する防止策を講じることで、企業が存続しやすくなります。

例えば、売上が減少したときのリスクヘッジとして、資金を余分に確保しておくのも有効といえます。資金管理がうまくできていれば、従業員の給与や税金などを滞りなく支払うことができるでしょう。反対に、適切なリスクヘッジができていないと起こり得る危険を回避するのが難しくなり、経営にも大きな影響を与えます。その結果、生存率が低下し、企業として生き残れなくなります。

事業拡大のタイミングを見誤る

4つ目は、事業拡大のタイミングを見誤ることです。事業を拡大すると新たな収入源を作れたり、リスク分散ができたりといったメリットがあります。しかし、事業拡大には先行投資が発生する他、ランニングコストの増加といったデメリットもあり、適切なタイミングで実行しなければ失敗する可能性が高まります。

たとえ起業後の事業がうまく展開できていたとしても、新規事業も成功するとは限りません。先行投資として莫大な資金を使って新規事業を開始しても、売上として回収できなければ事業としては失敗です。現状だけで判断したり、勢いに任せて事業を拡大したりすると、廃業のリスクが高まるでしょう。事業を拡大したいときは、長期的な視点であらゆる分析を行う必要があります。

出資者が見つからない

5つ目は、出資者が見つからないことです。スタートアップ企業は設立して間もないため、世間的な信用を得にくく出資者が見つかりにくいです。スタートアップ企業は銀行から融資してもらいにくいため、ベンチャーキャピタルに頼る企業も多いでしょう。

とはいえ、ベンチャーキャピタルは成長が見込まれる企業への先行投資であることから、将来性に期待できない場合は出資してもらうことはできません。その結果、将来性が不透明なスタートアップ企業は出資先を見つけられずに、廃業に追い込まれることがあります。銀行やベンチャーキャピタルから融資を受けられない場合を想定した上で、自社に合った対策を考えておくことが重要です。

営業力がない

6つ目は、営業力がないことです。営業力がないと新規の仕事を見つけられない他、顧客に商品やサービスを売ることもできません。つまり、長期的な売上を生み出すのが難しく、企業の存続にも大きな影響を与えるでしょう。

なお、営業力は経営者だけではなく、企業全体で身に付けるべきスキルです。個人の営業力に頼ってしまうと、その人材が欠けたときに営業できる術を失くします。営業力の高い企業を作り上げると事業拡大のチャンスが生まれやすくなり、長期的なビジネスが見込めるでしょう。つまり、営業力の高い企業ほど生存率を高めやすくなります。

スタートアップの生存率を高めるには?

スタートアップ企業の生存率を高めるためには、前述の生存できない理由を理解した上で以下のポイントを押さえることが大切です。

  • 競合他社の少ない事業を選ぶ
  • 会社の目標を従業員に周知する
  • 他社との差別化を図る
  • 時代の流れに合わせて変化できる柔軟性を持つ
  • リスクマネジメントを徹底する
  • 不測の事態に備えて資金を蓄えておく
  • コスト削減を心掛ける
  • 後継者の育成を進めておく

それぞれについて解説します。

競合他社の少ない事業を選ぶ

スタートアップ企業の生存率を高めるためには、競合他社の少ない事業を選ぶことが大切です。競合他社の多い分野を選んでしまうと、それらの企業と戦いながら事業を展開していかなければいけません。

例えば、大手企業が軒並み参入している事業にスタートアップ企業が参入する場合、勝ち残るためにはあらゆる戦略が不可欠です。スタートアップ企業にはネームバリューがないため、大手企業にはない付加価値を付けなければいけません。途中で負けると事業の成長もストップし、その後の企業存続にも大きな影響を与えるでしょう。

競合他社の少ない分野を選ぶとその事業での先駆者となり、世間からも注目を集めやすいです。その結果、オリジナルブランドを確立しやすくなったり、多くの受注が見込めたりとビジネスチャンスが舞い込みやすくなるでしょう。社会に大きく貢献できるため、企業としてのやりがいも得やすくなります。

会社の目標を従業員に周知する

企業が生き残る上で、従業員との目標共有は必須です。経営者を含めた従業員全員が同じ目標に向かって事業を展開することで、高いパフォーマンスを発揮できるようになるからです。もし従業員全員に目標を周知できていないと、成長意欲にバラつきが生まれて企業の成長にも悪影響をもたらすでしょう。

従業員に目標を周知させるためには、経営理念を明確にすることが大切です。全ての従業員が理解できるように分かりやすい言葉で表記し、企業が目指すべき道しるべとなるような内容にまとめておきましょう。

他社との差別化を図る

企業として長く生き残るためには、他社との差別化は欠かせません。たとえ競合他社の少ない事業を選んでも、周囲と同じことをしていたら大きな発展は見込めないからです。自社にしか生み出せない商品やサービスを持っていると顧客は価値を得やすくなり、継続的な取引が見込めます。その結果、企業の長期的な存続が実現しやすくなるでしょう。

他社との差別化を図るためには、自社の強みを明確にすることがポイントです。3C分析といったフレームワークを活用すると、自社の強みを明らかにできます。独自性の高い商品やサービスを持てれば一貫性が生まれ、企業の目標も達成しやすくなるでしょう。

時代の流れに合わせて変化する柔軟性を持つ

スタートアップ企業が生き残るためには、時代の流れに合わせられる柔軟性も大切です。顧客をはじめとする人の価値観やニーズは、時代の流れとともに日々変化します。その変化に対応できないと世間から必要とされる商品やサービスを生み出せなくなり、廃業のリスクが高まります。

例えば、従来は企業に出社して働くことが一般的であったものの、新型コロナウイルスの蔓延や働き方改革などによってテレワークを導入する企業が増えました。その結果、顧客のニーズにも変化が現れ始め「自宅で過ごす時間を充実させたい」と考える方も増えています。従って、長期的な経営を行うためには、市場の変化を読み取りながらニーズに合った事業を展開することが重要です。すると企業の成長が見込まれ、生存率の上昇も期待できるでしょう。

とはいえ、企業が掲げる経営理念を変える必要はありません。企業が目指すべきゴールを明らかにした上で、目標の達成手段を時代に合わせることがポイントです。

リスクマネジメントを徹底する

企業を存続させるためには、リスクマネジメントが欠かせません。リスクマネジメントとは、将来起こり得るリスクを把握した上で適切に管理することです。企業が直面し得るリスクを洗い出した上で防止策を立案したり、リスクが顕在化した際の対処法を考えたりします。あらかじめリスクの防止策や対応策を考えておくと、企業への損失を最小限に抑えやすくなります。すると、スタートアップ企業の生存率もアップしやすくなるでしょう。

なお、企業に起こり得るリスクを全て把握したり、防止したりするのは困難です。従ってリスクヘッジだけではなく、対応策を含めたリスクマネジメントを徹底することがポイントです。その結果、リスクが発生した場合も、慌てることなく必要な対策を講じられます。

不測の事態に備えて資金を蓄えておく 

スタートアップ企業が長く生き残るためには、不測の事態に備えて資金を備えておくことも大切です。起業直後は出資先を見つけにくく、資金を用意するのは困難です。しかし、起業した後は思うように売上が伸びなかったり、支出が予想以上に多くなったりとあらゆる場面で資金が必要になります。そのため、不測の事態に備えて起業前から資金を確保したり、売掛金を現金化したりして資金を余分に用意しておくと廃業のリスクを軽減できます。

コスト削減を心掛ける

企業が生き残るには、コストの削減は必須です。たとえ豊富な資金を用意できても、無駄なコストが多いと経営を続けるのは難しいです。特に、業績に関わらず発生する固定費は無駄を省き、必要最小限に抑えておくと売上が落ちたときも廃業に追い込まれる可能性は低いでしょう。そのため、日々発生するコストの管理は徹底的に行い「無駄なものはないか」「削減する方法はないか」などを検討するのがおすすめです。

後継者の育成を進めておく

スタートアップ企業が生き残るためには、早い段階からの後継者育成が欠かせません。事業が順調に展開していても、後継者がいなければ企業を存続させることは難しいからです。たとえ今の経営者が「後10年は最前線で走り続ける」と考えていたとしても、急病やけがなどによって突如一線を退く可能性も十分にあります。そのため、経営者に何か起きたときにすぐ対応できるような状態を構築しておくと、企業へのダメージを最小限に抑えながら事業を継続できるでしょう。

なお、事業を後継者に引き継ぎたいタイミングで適任者が現れる可能性は低いです。早い段階から候補者を絞って今後に備えておけば、慌てることなく事業を引き継げます。

自社の生存率を図るためのチェックポイント

自社の生存率を図るためのチェックポイントは、以下の通りです。

  • ベンチャーキャピタルから資金調達できるか
  • 自社事業の競合他社はいるか
  • 従業員のモチベーションが高いか
  • 採用戦略を練れているか

それぞれについて解説します。

ベンチャーキャピタルから資金調達できるか

生存率を把握したいときは、ベンチャーキャピタルから資金調達できるかどうかをチェックしましょう。ベンチャーキャピタルは企業の将来性を考慮した上で、資金を融資するかどうかを決定します。つまり、ベンチャーキャピタルから資金を調達できると、将来性のある事業を展開していると判断された証になります。

反対にいえば、ベンチャーキャピタルから資金を調達できないと魅力的な事業を展開しておらず、生存率は低いと判断できるでしょう。もちろんベンチャーキャピタルからの資金調達は、事業内容だけで決まるわけではありません。しかし、将来性を重視していることには変わりないため、生存率には深く関わっているといえます。

自社事業の競合他社はいるか

生存率を高めるためには、自社の事業に競合他社はいるかどうかを確認しましょう。競合他社の有無によって自社が生き残れる確率は変化します。特に、競合他社が強い場合は勝ち残れる可能性が低くなり、長期的な事業継続は難しくなります。

そのため、競合他社の少ない事業を選びつつ、ライバルの分析を行うことが大切です。「競合他社の強みは何か」「競合他社にはない独自性を生み出せるか」などを考慮した上で、自社事業を決めていくと良いでしょう。

従業員のモチベーションが高いか

従業員のモチベーションが高いと、企業の生存率も向上しやすいです。従業員のモチベーションが高いと個々が持つ力を存分に発揮できるため、高いパフォーマンスが望めます。反対に従業員のモチベーションが低いと企業全体の生産性が期待できず、良い成果にもつながりにくいでしょう。

従業員のモチベーションを上げるためには、働きやすい環境を整えることが大切です。適切な評価制度を取り入れたり、福利厚生を充実させたりすると従業員のモチベーションもアップしやすいでしょう。経営者の思いや考えなども共有できると、従業員のモチベーション向上に役立ちます。

採用戦略を練れているか

生存率を高めるためには、採用戦略を練ることも重要です。戦略を立てないまま人材を確保しようとすると費用だけがかかってしまったり、優秀な人材を確保できなかったりします。すると資金繰りがうまくいかずに、廃業のリスクも高まるでしょう。

人材を採用するときは「採用基準はどうするか」「どのような人材を見つけたいか」といった採用の軸を決めます。密な採用戦略が練られていると費用対効果を高められるだけではなく、採用担当者もスムーズに優秀な人材を見つけられるでしょう。

まとめ

スタートアップ企業の生存率は1年で94.0%、5年で80.7%です。諸外国と比較すると緩やかな減少ではあるものの、一定数の企業が廃業していると分かります。長期的に企業を存続させるためには生存できない理由を理解した上で、適切な対処法を実行するのがおすすめです。今回紹介したポイントを参考に、企業の生存率を高めてください。

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